ちょき☆ぱたん 紙の豆知識 (chokipatan.com)

10-4 紙の強さ
10-4-1 紙の強さのもと

 紙の強さのもとになるのは、主に、繊維自身の強さ、繊維と繊維の結合(水素結合)、繊維と繊維の絡み合い、サイズ剤の効果の4つの要素です。
 たとえば米袋やセメント袋のような重さに耐える必要のある強い紙を作るには、原料のパルプに繊維の長い針葉樹を使用するだけでなく、繊維が必要以上に傷めつけられないよう、漂白しない未晒のまま利用するなどの工夫がされています。
 また、製造過程で叩解(こうかい)という処理を行い、繊維を叩きつぶして毛羽立たせることで繊維同士の密着性を良くして、より柔軟性のある丈夫な紙を作るという方法もあります。
 パルプだけでは目標の強度が得られない場合には、カチオン化デンプンや尿素ホルムアルデヒド樹脂などの紙力増強剤が使用されます。さらに、薬品や樹脂にしみこませる「含浸」という処理によって、摩擦や熱、伸びに強い紙を作ることも可能です。

<参考>原料のパルプが針葉樹か広葉樹かを調べるには、調べたい紙を少し破いて破断面を観察します。破断面の毛羽立ちが少ないなら広葉樹パルプです。毛羽立ちが多ければ針葉樹パルプです。繊維の長さは広葉樹で1mm前後、針葉樹で2~4 mm前後です。
 インキが滲まないようにしたり、塗工用の塗料が紙内部に染み込まないようにするための薬品がサイズ剤で、添加の方法としては「内添サイズ法」と「表面サイズ法」があります。内添サイズ法は、紙を抄く前の段階でパルプに松脂と硫酸バンドを混ぜる方法で、松脂が硫酸バンドの力を借りて紙の繊維表面に付くことで水をはじくようになります。表面サイズ法は、抄きあがった紙の表面をでんぷんや水溶性合成接着剤で覆う方法で、塗料が紙に浸み込まないようにするだけでなく、印刷中に紙の表面が剥がれないようにする効果や、腰のあるしっかりした紙にする効果もあります。
 なおサイズ剤として利用されてきた硫酸バンドは、紙を酸性にして保存性を悪化させることが問題(酸性紙問題)になり、最近は中性のサイズ剤が利用されるようになっています。
 その他、紙を破れにくくするために「紙力増加剤」を添加する場合もあります。これには、紙の繊維同士の水素結合を増やす効果があります。


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