ちょき☆ぱたん 紙の豆知識 (chokipatan.com)

9-2 樹皮から和紙へ(日本の伝統的和紙の製法)

(1) 材料を刈り取る
 11月末から1月にかけてコウゾを刈り取ります(※和紙の原料としては、コウゾの他、ミツマタやガンピ等も使われますが、ここではコウゾを原料とした作り方を紹介します)。
(2) コウゾを蒸す
 刈り取ったコウゾを3~4時間蒸します。
(3) 幹から皮を剥ぐ(黒皮作り)
 蒸し終わったら、冷めないうちに手早く皮を幹から剥ぎ取ります。剥ぎ取った皮を「黒皮」と呼びます。剥ぎやすくなるよう、蒸し終わったら直ぐに冷水をかけて皮を縮めます
(4) 外皮を剥ぐ(白皮作り)
 ナイフのような道具で外皮をはぎ取り、内皮だけにします。この内皮を「白皮」とよびます。((3)の皮剥ぎの後、この作業の前に、黒皮をいったん乾燥させてから水に漬けて、黒皮から外皮を剥ぎ取りやすくする場合もあります)
(5) 白皮を煮る
 白皮を灰(カ性ソーダ、ソーダ灰)で2~3時間煮ます。これで繊維に入っているゴミを取りのぞくとともに、繊維をやわらかくします。
(6) 水に漬けて灰を洗い流す
 水(川などの流水が最も良い)に一日ほど漬けて、灰やゴミを洗い流すとともに、天日で繊維を白くします。
(7) ゴミ取り
 繊維のキズや汚れなどを手で取りのぞきます。
(8) 叩く(打解(だかい)、叩解(こうかい))
 木の角棒で、繊維がワタのようになるまで叩きほぐします。
(9) 漉き槽に入れ、トトロを加えて混ぜる
 「漉き槽」の水中へ、ワタ状になった原料を入れて、棒でよくかき混ぜます。トトロ(トロロアオイという植物の根から 取り出した透明な粘液)を加えて、繊維が均一に分散するまで、さらに良くかきまぜます。
(10) 紙を漉く
「漉き槽」の中で簀桁(すきけた)を、手前から、繊維が分散した水を汲みこむように動かしながら紙を漉きます(流し漉き)。紙の厚さや種類により、この作業を数回くり返します。
(11) 漉いた紙を紙床(しと)に移す
 漉き終わったら桁から簀を外し、簀に濾過された紙を紙床に移します(何枚も重ねて置いていきます)。その後一昼夜ほどそのままにして、自然に水を切ります。
(12) 圧搾(プレス)する
 一枚一枚すき重ねた紙床に、重石またはジャッキなどでゆっくり圧力をかけ、さらに水を絞ります。(これでトロロのねばりけが、完全になくなります)
(13) 板にはる
 紙床から湿った紙を一枚ずつ剥がして、板や鉄板に皺が寄らないよう刷毛ではり付けます。このとき板に付いた面が、光沢のある表となります。湿ったままプレスした紙が剥がせるのか心配になりますが、漉いた和紙は、表面が滑らかなので、互いにくっつき合わず、きれいに剥がせます。
(14) 乾燥させる
 紙をはった板を、天日又は乾燥機で乾燥させます。
(15) 検査と断裁
 乾燥が終わったら和紙を板から剥がして一枚ずつ検査し、不良紙を取り除いた上で、必要な寸法に断裁して製品にします。


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