ちょき☆ぱたん 紙の豆知識 (chokipatan.com)

9-1 パルプから紙へ(機械化された方法)

(1) パルプを作る
 大きな高温高圧の蒸解釜で、原料となる木材チップを煮込みます。薬品を加えて煮込むことでリグニンを溶かして繊維をばらばらにすることができます。ばらばらになった繊維を洗浄してリグニンや異物を洗いおとした後、クリーナーで木材繊維以外のゴミを取り除きます。さらに酵素などの薬品でリグニンを取り除き、二酸化塩素等で繊維を漂白してパルプを作ります。

(2) 調成する
 紙はパルプの繊維を絡み合わせて作るので、紙抄きの前に、繊維を機械によって叩く・潰すを行って毛羽立たせ、繊維同士を絡みやすくします。
 古紙からつくられた古紙パルプを化学パルプに混ぜて使用する場合は、この工程で混ぜ合わせます。
 次に薬品を添加します。填料は繊維間の空隙を埋めて不透明度、白色度、平滑度、インキ吸収性などを向上させるために添加されます。印刷用紙には滲み防止のためサイジングを行います。その他紙力向上剤や、染料などが必要に応じて添加されます。
 ちなみに填料などは必ず添加しなければならないわけではなく、ろ紙やキッチンペーパーなどには添加されません。またサイジングもこの段階ではなく、紙が抄きあがった後で行われる場合もあります。
 パルプ中には、木材の硬い部分や古紙のフィルムなど不要なゴミが残っていることがあるので、それをこの工程で取り除きます。またパルプ中には空気がたくさん入り込んでいて、それを残したまま紙を作ると紙に穴があいてしまいますので、空気を抜く作業も行います。

※サイジング:紙はもともと吸水性に富んでいるので、紙にインキの滲みを防いだり耐水性を与えるために行う処理のことをサイジングと言います。従来はサイズ剤としてロジン(松脂)と硫酸バンド(定着剤)が用いられてきましたが、酸性紙問題からアルキルケテンダイマーなどの中性サイズ剤が用いられるようになっています。

(3) 抄く
 液状のパルプ(この段階では水分が約99%)を網の上に均一に吹き出して、紙のシートを作っていきます。その後、紙をフェルトに乗せて巨大なローラーの間にプレスしながら通して脱水していきます。更に蒸気で加熱した鉄製の円筒に、抄いた湿った紙を押しつけて乾かし、十分に水分を取り除きます(この段階では水分は約8%)。

(4) 表面塗工する
 できたばかりの紙はパルプを敷き詰めただけなので、表面はでこぼこしています。これをきれいに印刷できる紙にするために、乾いた紙の表面に下地液を塗ってから、さらにカオリンなどの顔料と接着剤などの薬品を塗ります(表面塗工をしない紙もあり、それを非塗工紙と言います)。
 その後、何本かの鉄のロールにこの紙を通して、光沢のある滑らかな締まった状態に表面を加工していきます(この工程で紙の厚さは減少します)。

(5) 断裁、仕上げる
 出来上がった紙を巻き取り、ロール状になったものを、使いやすい大きさに裁断して、傷や汚れがないかを検査し、製品として仕上げます。

<参考>紙(洋紙)に添加される主な薬品
・サイズ剤:水性インクなどの浸透性を抑え、滲みや裏移りを防ぐために使われます。
・填料(てんりょう):繊維間の隙間を埋め、紙の不透明度・白色度・平滑度・インク吸収性を向上させるために使われる炭酸カルシウムなどの鉱物質の白色粉末です。
・紙力増強剤:引っ張り強さや耐折強さなど、紙の強度を高くするために使われます。
・染料、顔料:紙の色を調整する材料として使われます。
 染料は水や油は溶けやすく、布や紙の繊維間にしみこんで染まる性質があります。
 顔料は水や油、アルコールなどに溶けずに細かな粒子として分散する性質があり、繊維に染着する力がないので、適当な固着成分を加えなければなりませんが、一般的に染料よりも耐光性があるといわれています。


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