ちょき☆ぱたん 紙の豆知識 (chokipatan.com)

10-3-2 湿度変化で起こる紙の変化

 紙は湿度に敏感なため、その変化に応じてさまざまな変化を起こします。その代表的な形態として「波打ち」、「おちょこ」および「カール」があります。

(1) 波打ちとおちょこ
 積層紙の周囲の湿度が変化すると、紙の周辺が湿ったり乾燥したりするので、周辺部分が局部的に伸びたり縮んだりします。これが「波打ち」や「おちょこ」で、印刷時に見当狂いあるいは印刷しわなどの原因となります。
 波打ちは、紙の端部が大気中の水分を吸って部分的に伸びて波状になるもので、高湿環境下で、紙が乾いているときに発生しやすくなります。これを印刷すると紙の中央部から端にかけて皺が入りやすくなります。
 一方、おちょこは、波打ちとは逆の条件下で発生します。すなわち、紙周囲から外気中に水分を放出して紙の隅がせり上がり、おちょこ(盃)状のような形になる現象で、低湿環境下で紙が湿っているときに発生しやすくなります。これを印刷すると紙の中央部に皺が入りやすくなります。

(2) カール
 カールは紙が湾曲する、つまり紙が丸まる状態を指します。これは、1)湿度による紙の伸縮に起因する「構造カール(水分カール)」と、2)巻取の長期保存等による「巻ぐせカール(巻きカール)」とに大別されます。
「構造カール(水分カール)」は、紙の表裏差(構造差、水分差)による伸縮の度合が異なるために生じるものです。対策として、ドライヤーをかける方法や、逆に片面に水を塗るなどの方法で、表裏の差を減少させることが行われています。
「巻きカール」は、紙シートが巻取コア(紙管)の回りに、癖がつくほど固く、長期間巻きつけられたために発生します。こわさ(剛度)の大きい厚い紙ほど生じやすく、巻芯に近いほどその程度は大きくなります。このようなカールは、紙をしごくことによって改善されます(カレンダーなどの場合は、吊るしておくことで、自分の重みと空中の湿度(吸湿)でカールが取れていくこともあります)。


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