ちょき☆ぱたん 紙の豆知識 (chokipatan.com)

8-4 紙の伝播

 製紙法は西アジアに8世紀頃伝わり、サマルカンドでは、757年に製紙工場が造られました。その後、バグダッド、ダマスカス、カイロなどイスラム世界の各都市に製紙工場が造られ、その技術は1100年にはモロッコまで伝わりました。紙は、イスラム世界で主要な文字記録用の材料となり、ヨーロッパへも輸出されました。また1144年には、イベリア半島のハティバに、ヨーロッパ初の製紙工場が造られました。
 ヨーロッパに製紙法が伝わってまもなく1282年にイタリアのファブリアノですき入れ紙が発明されました。これは針金で模様を作り、すき簀の上に固定させて紙をすいたものです。針金模様のあった部分は繊維が少なくなって白く透けて見えるので、透かしとも言われます。中国や日本では簾で紙をすくので、すき入れは発達しませんでした。それに対してヨーロッパではすき入れは盛んに行われました。現在の紙幣用紙には、偽造防止のために各国ごとにいろいろな透かしが入れられています。日本では法律で、民間で黒透かしの紙を作ることは禁止されています。

※黒透かしとは、連続諧調の濃淡のある高度なすき入れのことです。


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