ちょき☆ぱたん 写真補正の豆知識 (chokipatan.com)

第1部 実践1基礎編1写真補正

4 写真を補正する

4-11 シャープさの調整

4-11-2 シャープを適用する方法

(1) 自動シャープコマンドを使用する
 画質調整/自動シャープを選択すると、画像を自動的にシャープにします。
 自動シャープコマンドを使用すると、シャープを適用しすぎることなく、画像の鮮明度や焦点を改善することができます。初心者の方は、まずこれでシャープをかけてみましょう。その結果に満足できなかった場合は、自動シャープをいったん破棄して(履歴を戻して)、「アンシャープマスク」で調整するなどの方法を使いましょう。

(2) アンシャープマスクフィルターの使用
 アンシャープマスクフィルターを使用すると、コントラストを強くして画像のあいまいさを軽減することで画像の輪郭をはっきりさせることができ、撮影やスキャン、再サンプル、印刷作業によって発生するぼけを補正できます。
 アンシャープマスクは、指定したしきい値に従って周囲にあるピクセルとは異なるピクセルの場所を検索し、そのピクセルのコントラストを指定した量だけ強くします。指定した半径内にある周囲のピクセルに対しては、明るいピクセルをより明るく、暗いピクセルをより暗くします。
 アンシャープマスクフィルターの効果は、高解像度で印刷するよりも、画面上の方が強く表れます。印刷を目的とする場合は、いろいろ試行して、自分の画像に最適な設定を探してください。高解像度で印刷したい場合に、いつもシャープが甘くなってしまいがちな方は、画面上で写真を25~50%程度で表示し、その画面を見てシャープをかけてみましょう。逆に、いつもシャープを強くかけすぎる方は、画面上で写真を100%表示にしてかけてみましょう。
 シャープをかける時に設定できるオプションは次の通りです。オプションの値の調整方法としては、まず半径としきい値を下記の「一般的な値」の最低値で設定してみて、量を徐々にあげていってみてください。その間、輪郭線の曖昧さが気になるようなら「半径」の方を少し上げてみて、輪郭だけをさらに強調したい場合には、「しきい値」の方を上げてみましょう。

・量:ピクセルのコントラストを強くする割合を指定します。画像の境界線の明るさの違いの度合いが変わり、大きいほど輪郭線を強調することになります。
 量は、通常、Web写真の場合は50 ~100%、高解像度印刷画像の場合は150 % ~ 200 %が最適とされています。画面の写真を見ながら50%(150%)から少しずつ上げていき、最適な値を設定してください。

・半径:シャープを適用する範囲を、輪郭の周囲のピクセル数で指定します。輪郭線の強調を適用する範囲が変わり、数値が小さいと輪郭のみを、大きいと画像全体を強調することになります。
 半径の一般的な値としては、72dpiの場合は0.3、300dpiの場合は1.0、350dpiの場合は1.2と言われています。さらに高解像度になる場合は、1.0 ~2.0に設定しましょう。値を低くすると輪郭のピクセルのみにシャープが適用され、値を高くすると輪郭の幅を広げてシャープが適用されます。ピクセル半径に 2 を指定しても、高解像度印刷では極めて小さい範囲になるため、シャープの効果は画面で表示されるよりも弱くなります。

・しきい値:周囲との差がどの程度あれば、輪郭ピクセルと見なし、シャープを適用するかを指定します。この値を設定することより、シャープにする輪郭(部分)を調節しますので、数値が大きいとピクセル間の色差が大きくてもシャープの適用対象から外れてしまうことになります。
 一般的な値としては、輪郭のはっきりした被写体の場合には1~10、人物や風景などの場合には3~20が適切と言われています(※参考:柔らかい素材へのシャープのかけ方も参照してください)。
 なお初期設定のしきい値(0)では、画像のすべてのピクセルにシャープを適用します。

<参考:柔らかい素材の被写体にシャープをかける>
 刺繍のある衣類には、刺繍のディテールを綺麗に見せるためにシャープをかけたくなる場合がありますが、シャープをかけるとせっかくの素材の柔らかい質感が硬くなってしまいがちです。これを緩和するには、「アンシャープマスク」を適用する時の「しきい値」を1~3程度に設定すると良いでしょう。


(3) シャープ調整を使う
 画像をさらに自分のイメージ通りに細かくシャープにしたい場合は、「画質調整」メニューの「シャープ調整」を選択します。「プレビュー」しながら、次のいずれかのオプションを設定して画像にシャープを適用します。(量と半径の値の適正値については「アンシャープマスクフィルター」での値を参考にしてください)

・量:シャープの量を調整します。

・半径:エッジ周辺のどれくらいの範囲にシャープを適用するかをピクセル数で指定します。半径を大きくすると、シャープの効果がより顕著になります。

・除去:画像に適用するシャープのアルゴリズムを設定します。「ぼかし(ガウス)」は、アンシャープマスクフィルターで使用する手法です。「ぼかし(レンズ)」は、画像のエッジとディテールを検出し、ディテールにより鮮明なシャープを適用して、シャープによるハロー効果を軽減します。「ぼかし(移動)」は、カメラや被写体の動きによるぼけを軽減します。

・角度:除去コントロールの「ぼかし(移動)」オプションを選択した場合の移動の方向を設定します。

・精細:ファイルの処理速度を下げて、より正確にぼかしを削除できるようにします。


(4) レタッチツールのシャープツールを使う
 画像の一部の領域だけをシャープにしたい場合は、シャープツールを使用します。「シャープツール」を選択し、オプションバーで、オプション等を設定してから、画像内のシャープにしたい部分をブラシでドラッグします。
 シャープツールでは、写真のソフトな輪郭を明確にして、鮮明度や焦点を向上させますが、シャープを適用しすぎると、粒子が粗く見えるようになります。オプションバーの「強さ」の値を下げることで、シャープの過度な適用を防ぐことができますので、シャープを少しずつ適用し、必要に応じて適用する部分を何度かドラッグしてシャープを段階的に上げていくように使用するのが良いでしょう。

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