ちょき☆ぱたん お気に入り紹介 (chokipatan.com)

第1部 本

しかけ絵本(日本の作家)

きつねがひろったイソップものがたり (2)

『きつねがひろったイソップものがたり (2)』1987/10
安野 光雅 (イラスト), 森谷 宇一 (翻訳)


(感想)
 さて、「きつねがひろったイソップものがたり」の二冊目です。「2」ですが、別に連続している話ではないので、「1」を読んでいなくてもまったく問題ありません。もともとイソップ物語は短い話を集めたものなので、「1」とは違う話が収録されているだけです。
 この本も「1」と同じような頓智の利いた「文章構造的しかけ絵本(?)」になっていて、同じ話を何倍にも楽しめます。
 子ぎつねにせがまれたお父さんが、「眼鏡も辞書もなしじゃ、読めないよ……」とぶつぶつ言いながら読んであげるのですが……今回も、旅の絵本や数学絵本のパロディっぽかったり、いくつかの話が、いつの間にか連続推理物っぽくなっていたりと、イラストの楽しさも、ほら話も、さらにパワーアップしている感じで、お父さん、絶好調です。
 この絵本は、子供向けというより大人向けで、「ああ、イソップ物語? 『北風と太陽』とかね、はいはい。」と、「イソップ物語=教訓話」という刷り込みが出来てしまっている大学生以上ぐらいの人が一番楽しめると思います。
 とりわけ、子供に絵本の読み聞かせをしているお父さんお母さんに最適です(笑)。子供の頃、学校の先生向けテキストをちらっと盗み見て、なんか自分のと違って、赤い文字が入ってたり、細かい字で解説っぽいことが書いてあったりして、ちょっとズルいな、もしかして、それがあったら授業を受けなくても良いんじゃないかな……なんて思ったことありませんか? この絵本を読み聞かせる時には、上の部分だけを子供に読んであげましょう。文字を覚え始めた子供に下の部分を指さされ、「ねえ、こっちはなんて書いてあるの?」なんて言わせて、ちょっぴり教員気分を味わいましょう(笑)。もっともこの本には解説ではなく、ほら話が書いてあるので、本当の教員が本当に読み聞かせをする時には、すごく困ることになると思います。せっかくのイソップ物語の教訓が、時には台無しになるようなことが書いてあるので……。えーと、読み聞かせには、自己責任でお使いください(笑)。たぶん本当の教員の先生は、この本を読み聞かせには選ばないと思います。
 さて、えーと、それから……おや、眼鏡はどこに行ったかな……辞書もないから……。いや父さんは、ちゃんと読んだよ。たぶんね。
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 安野光雅さんのその他の本、『旅の絵本』、『きつねがひろったイソップものがたり (1)』、『ふしぎなたね』、『ふしぎなえ』、『空想の絵本』、『安野光雅の世界―1974→2001』に関する記事もごらんください。
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 安野光雅さんは、この他にも、いろいろな素晴らしい本を出しています。『きつねのざんげ』は、森の中で一番の偽善者になろうとしたキツネの哀しい物語絵本。『おおきなもののすきなおうさま』や『おとぎの国の郵便切手』は、安野さんらしいウィットに溢れた美しい絵本、その他、古典文学などを素材にした本に、『繪本 シェイクスピア劇場』、『繪本平家物語』、『新編 繪本 三國志』、『カナリア王子』もあります。また、『にほんご』は絵本ではなく、谷川俊太郎さんなどとの共著の国語の教科書です。

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