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第1部 本

地質・地理・気象・地球環境

三つの石で地球がわかる 岩石がひもとくこの星のなりたち(藤岡換太郎)

『三つの石で地球がわかる 岩石がひもとくこの星のなりたち (ブルーバックス) 』2017/5/17
藤岡 換太郎 (著)


(感想)
 石の世界のしくみやなりたち、地球の進化と石の濃密なかかわりなどを、三つの石の物語で解説してくれる本です。
「水の惑星」地球は「石の惑星」でもあります。地球は、太陽系で最も多くケイ素が集まったため、ほかの惑星にはない多彩な岩石が生みだされたのだとか。地学が好きなので、美しい石の本や標本を見ると宝石でなくても心が躍りますが、その名前となると……あまりにも多すぎて覚える気にもなれません(汗)。
 ところがこの本のタイトルは、『三つの石で地球がわかる』です! たった三つ覚えるだけでいいなら、すごく楽ちん☆と思って読み始めました。
 その三つとは、「橄欖岩(かんらん岩)」「玄武岩」「花崗岩」。「地球の全体積に、これら三つの石の体積が占める割合は、橄欖岩が82.3%、玄武岩が1.62%、花崗岩が0.68%です。ほかには、金属が15.4%です。」だそうで、表紙の写真の緑の石が「橄欖岩」、黒が「玄武岩」、白が「花崗岩」なのです。
 えー? でもこんな緑の石なんて見たことない! どれかと言ったら、見たことが多いのは白の石。なのに、実は地球の体積の82%以上が、こんな透明の宝石みたいな緑の石なの? と驚いたら、この緑の橄欖岩は、地球の内部のマントルを形成しているものなのだとか(地上にも少しありますが、変成しやすいので「蛇紋岩」など他の名前になっているそうです)。
「地球の構造とは要するに、鉄の球(核)の周りを橄欖岩が取り囲み(マントル)、その周囲に玄武岩(海洋地殻)と花崗岩(大陸地殻)が薄く張りついているだけにすぎない、ともいえるのです。」
 そうだったんですか。
 そしてもう一つ驚いたのが、「海は、陸とはまったく別のでき方をしているのです。」ということ。
「中央海嶺から湧きあがってくる大量のマグマこそが、玄武岩のもと。地表に流れ出てきたマグマが広がり、冷えて固まると、玄武岩でできた海底、すなわち海洋地殻が生まれるのです。」
「花崗岩が大陸地殻になったのは、海洋地殻を形成する玄武岩よりも密度が小さい、つまり軽いからです。重い玄武岩の上に、軽い花崗岩が乗っかっているのです。」
 ……こんな感じで、「橄欖岩」「玄武岩」「花崗岩」の三つの物語を通して、地球のなりたちや、さらには太陽系のなりたちまでを教えてくれます。すごく興味深い話が満載☆ 
 宇宙からやってきてマグマオーシャンを作った橄欖岩、それが溶けて地球で最初にできた石となった玄武岩、原始の大陸地殻が溶けてできた花崗岩……石が「溶ける」とか想像もしませんでしたし、石の中に混ざり込んでいるもの(結晶構造)の成り立ちまで科学的に教えてもらって、なんだか視野が広がったような気がします。
 面白くて勉強にもなる素晴らしい本でした。ぜひ読んでみてください。
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 藤岡さんの本『フォッサマグナ』、『見えない絶景 深海底巨大地形』に関する記事もごらんください。
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 藤岡さんは、他にも『深海底の地球科学』、『相模湾 深海の八景 ―知られざる世界を探る』、『山はどうしてできるのか―ダイナミックな地球科学入門』、『海はどうしてできたのか』、『川はどうしてできるのか』などのを出しています。
 なお社会や脳科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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