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第1部 本

ビジネス・経営

原則中心 会社には原則があった!(スキナー)

『原則中心 会社には原則があった!』2014/11/29
ジェームス・スキナー (著)


(感想)
「動かすことのできない原則を、私生活や組織の中心に定める」ことで、会社や組織をよりよく運営していく方法を教えてくれる本です。
『7つの習慣』で有名なコヴィー博士の「原則中心リーダーシップ」をもとにして、その弟子のスキナーさんが自らのビジネス経験を加えてまとめあげたそうです。
 と言っても、一般的な経営コンサルタントが指導してくれるような実践的な技術というよりは、より理念的・概念的なものです。「人に魚を与えれば、一日食べさせることができる。人に魚釣りを教えれば、一生食べさせることができる。」……「原則中心リーダーシップ」は、この魚釣りを教えてくれるものだそうです。
 真のリーダーシップは、人間の四つのニーズ(生きる・愛する・学ぶ・貢献する)をすべて取り上げ、それにより、会社のミッションに参画する全員の内なる炎をもえさせるものだそうです。
 そして原則中心リーダーシップは、会社の四つのレベル(個人・人間関係・組織・リーダーシップ)の中心にミッションを位置づけて、すべての要素を顧客のニーズに向かせることを目的としています。
 その実現のプロセスとして、360度の企業情報システム(財務会計を全員に公開する、利害関係者情報を調査する、ベンチマーキング、良心とビジョンを確立する)および四つの協定(個人のミッション・ステートメント、Win-Winの実行協定、戦略的計画書、会社のミッション・ステートメント)を導入すべきだと教えてくれます。
 これらはすぐに実行するのは難しいものもありますが(汗)、「毎月一回、部下ひとりひとりと個人コーチング面談を行おう」などの教えは、即効性が期待できそうな気がします。
 また、意外にもこの「原則中心リーダーシップ」では、従来の管理手法で重要とされる「報連相」を奨励していません。「「報連相」は組織の人間関係において信頼がないことが前提とされている」からだそうで……「結果だけを要求し達成方法を現場に任せてみよう」と提案しています。
 この「原則中心リーダーシップ」は、全体に「周囲の人々を信頼して任せよう」という感じの性善説に満ちている感じがします。社員や周囲の人全員が『7つの習慣』を身につけているなら可能なのかもしれませんが……多くの従業員のいる大企業でも、この方法が本当に有効なのか?については、多少の不安を感じなくもありませんでした(汗)。
 それはともかく、会社の憲法となるミッションを従業員などの関係者全員で作ると、正しいミッションになるだけでなく、全員の意識が高いレベルに向かっていく、ということのようで、その結果、人間の最大の力を引き出し、それに関わるすべての人の人生をより素晴らしいものにすることが出来るそうです。
 社会の変化がどんどん速くなる現代では、すべてのものを上から「管理」するのは、とても困難になっています。性悪説による「管理」ではなく、性善説に基づいた「意識改革」で、より良い組織運営ができるなら、本当に素晴らしいと思います。
 そして、この本の中で印象に残ったものには、「NASAの問題解決技法」もありました。アメリカが「月面計画」を行った時、それを実行させるための必要な技法はひとつも存在しませんでした。それでも彼らが「月面計画」を本当に実現させることができたのは、「失敗回避」という技法を使ったからだそうです。それは「10年後に、計画を実行させられない理由はなにか?」をすべて洗い出して、一つ一つ解決していくこと。「予想される敗因を取り除いていけば、残るのは成功だけ」だそうです。
 リーダーにとってとても参考になる、多くのヒントを与えてくれる本だと思います。ぜひ一度、読んでみてください。
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 この本のもととなった『7つの習慣』に関する記事もごらんください。
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 スキナーさんは、他にも『あなたの夢を現実化させる成功の9ステップ』、『100%』、『TQ-心の安らぎを得る究極のタイムマネジメント』、『心をひらく』などの本を出しています。

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