ちょき☆ぱたん お気に入り紹介 (chokipatan.com)

第1部 本

動く&錯視錯覚の本

錯視錯覚しかけ絵本

きょうの おやつは
ふしぎな にじ

『きょうの おやつは かがみのえほん』2014/10/9
わたなべ ちなつ (著)


(感想)
 「かがみのえほん」は、鏡のような紙をつかった不思議で楽しい絵本です☆
 原理はとても単純。それぞれのページが、鏡のようにピカピカ反射する銀色の紙でできているので、ページを開くと両側の絵が互いに映りこみ、三次元的な不思議な空間が目の前に広がってきます。
 この『きょうの おやつは』は、おやつを作る本。卵をわって、小麦粉、砂糖、牛乳を入れて……ページを開くごとに、どんどんホットケーキ作りが進んでいくのですが、鏡がとても効果的に使われているので、本当に不思議なほどリアルで、いつの間にか、絵本の中に入り込んでいくような感じすらしてしまいます。
 絵本の世界に入り込むというと、最近では『プリンセス・プーパックとナオ』のような3DやVR技術を思い出しますが、この絵本はそういう技術をまったく使わず、鏡という古い魔術(?)で、それを実現しているのです。だから絵本の世界に入り込むのに必要なのは、この絵本を開くことだけです☆

 さあ、絵本を開きましょう。90度の角度に開くのがポイントです。すると……割れた卵が、銀色のボウルにすとんと割りいれられます。卵が、90度に開いた絵本のページの上の端から、絵本の下にあるボウルに向かって、本当に落ちていくように見えます。実は、下のボウルは半分(半円)しか描かれてなくて、残りの半円は鏡に映っているだけなのですが……どう見てもそこにあるように見えるんです。
 こうしてページをめくっていくにつれ、フライパンから湯気があがって、ホットケーキをひっくり返して……と、どんどんおやつ作りが進んでいって、最後には、テーブルにお皿を並べて、紅茶もいれて、いただきます☆
 本当に単純な仕組みなのですが、リアルに描きこまれたイラストとその配置が素晴らしいので、清潔なキッチンで自分がおやつ作りをしているような錯覚すら生まれてしまいます。
 特に、ホットケーキを「ほっ!」とひっくり返すシーンや、紅茶を注ぎいれるシーンは、お見事!です☆ 書店や図書館でこの本を見かけたら、この不思議な感覚を、ぜひご自分の目で確かめてみてください。

ふしぎな にじ

『ふしぎな にじ かがみのえほん』2014/10/9
わたなべ ちなつ (著)

(感想)
 『ふしぎな にじ』も、鏡を効果的に使った絵本です。名前の通り、とても不思議な虹を楽しむことが出来ます☆
 まずページを90度に開いて、美しい5色の虹を眺めます。それからページの角度を少しずつ狭めたり広げたりすると……虹が、さまざまな変化を見せてくれるのです!
 『きょうの おやつは』には黒いページがほとんどなかったのですが、この本は片面が大きく黒くなっているページが数ページあり、その銀色と黒色に映りこむ虹が、すごく不思議な見え方をします。本の中に虹が吸い込まれていくように見えたり、虹が数珠つなぎになっていくように見えたり、虹が広がっていったり、さらには、ばらばらに拡散していくように見えたりするのです☆ (両面が銀の鏡のページも、もちろん不思議で素敵です)。
 銀(と黒)の鏡の効果と、イラストの配置の巧みさのせいだと分かっていても、あまりにも不思議な感じがして、何度もページを波のように揺らしてしまいます。
 この不思議さは、本当に「見てみないと分からない」ような気がします☆
 ところで、この「かがみのえほん」は、『きょうの おやつは』と『ふしぎな にじ』の二冊が同時発売になっているのですが……、どちらも素敵で、選べませんでした(汗)。絵本に入り込めるような不思議さを楽しめるのは、『きょうの おやつは』の方なのですが、鏡が持つ不思議な力の強さを、より活かしているのは、『ふしぎな にじ』の方で……、うーん……と言うことで、結局、どちらも紹介することになりました。両方、お勧めです☆
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 かがみのえほんシリーズの他の本『かがみのサーカス』に関する記事もごらんください。
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 別の作家の本ですが、3DメガネやVR技術を使わずに、絵本だけで立体感を楽しめる魔法のような本には、『とびだす! 3Dアートえほん ふしぎなかいだん』、『とびだす! 3Dアートえほん ひみつのちかしつ』もあります。これは、なんと、鏡すら使っていません。影の付け方を工夫した描画技術だけで、立体に見える錯覚を起こさせているという不思議絵本です。
 また『3Dで見る!世界の不思議14景』、『ディズニー 3Dブック ファインディング・ニモ (ディズニー3Dブック)』は3Dメガネを使って立体的に見える絵本です。

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