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第1部 本

医学&薬学

よくわかる病理学の基本としくみ[第2版](田村浩一)

『図解入門 よくわかる病理学の基本としくみ[第2版] (メディカルサイエンスシリーズ)』2024/10/19
田村浩一 (著)


(感想)
 病気とからだの仕組みをビジュアルに解説した病理学の入門書です。次のように書いてありました。
・「病理学は、「人はなぜ病気になるの?」「病気の本体ってなに?」「正常とどこが違うの?」「その病気にかかるとどうなるの?」「どうすれば治るの?」ということを研究しています。つまり、「病気のリクツ」を「なぜ?」の対象にしているのです。そうすると医学全般ということになってしまいますが、病理学はその中でも「目に見える形の違い」を元にして、その理解を進めてきた領域です。」
・「医療の世界では、所見を取ることがもっとも大切です。眼で見る、音を聞く、触る、臭いをかぐ、糖尿病では尿の味覚までも使われました。これらの所見を総合して診断をするわけです。病理の世界も同じです。ただし、病理では主に「見る」ことが中心で、解剖の際にはこれに「触れる」ことが加わります。」
 ……ということで、病理では顕微鏡所見を観察し、さまざまな所見を総合して診断するのだとか。

「病理学総論と同じように「漏らさずに鑑別診断を考える」筋道には、臓器別の考え方が必要です。たとえば「胸が痛い」という患者さんには、痛みの部位、痛みの種類(「鋭い」「刺すような」「締め付けられるような」)、発症時間や持続時間、痛みのきっかけなどを聞きながら、何が原因かを考えていきます。」
 そして「病気は、病気の元となる「攻撃因子」と、病気を防ぐ「防御因子」のバランスの崩れによって生じる考えることもできます。」だそうで、例えば胃の壁にとっては、消化酵素が攻撃因子で、粘液が防御因子。胃潰瘍はこのバランスが崩れて起こるのだとか。
 さらに遺伝子異常や肝硬変、心筋梗塞、癌などについても、詳しい解説がありました。
 個人的にとても参考になったのが、「細胞の傷害と修復のしくみ」。
「傷ついた細胞が元どおりになるための要件」としては……
1)細胞分裂で増える範囲であること
2)残っている死骸を片づけて、きれいにできること
3)元どおりになるまで細胞分裂をくり返せること(再生能力)
4)別の細胞が機能を代行できること
5)細胞の傷害が持続していないこと
6)組織の構造(構築)も元通りになること
7)適切なところで細胞分裂(再生)がストップすること
 ……があり、元通りに治せない場合は「穴埋め」するという方法もあるようです。
 また皮膚の創傷治癒の過程は……
1)出血を止める材料でカサブタができる
2)カサブタの下で肉芽組織が増生し、これが傷口をきれいにしてくっつける役割を果たす。また肉芽組織が線維になる過程で傷口は縮小していく
3)表面では表皮が再生する
 ……となっていて、このような皮膚の創傷治癒のしくみは、他の臓器や組織でも基本的に同じだそうです。
 ところで……
「傷口をきれいにするには、水道水で洗うのが一番です。傷の状態にもよりますが、通常の傷ならばむしろ「消毒薬は使わない方がよい」というのが一般的な考え方になってきました。」
 ……ということですが、その理由としては……
「傷口には細菌類をやっつけるための白血球や、ゴミを片付けて傷口をきれいにするためのマクロファージが集まっています。さらに肉芽組織に対する増殖因子が分泌され、線維芽細胞が増殖してきます。白血球もマクロファージも、乾燥した状態では死んでしまいます。増殖因子はタンパク質ですから、乾燥した状態では働けません。(中略)つまり、「傷を乾かす」というのは、傷を治そうとする生体の反応をジャマする行為にほかならないということになります。さらにガーゼを取り換えることによって、せっかくできつつある肉芽組織も一緒に取り除いてしまう可能性があるのです。」
 ……ああー、そうだったんだ! 傷口がぐちゅぐちゅしていると服に滲みてくることがあるし、空気中の雑菌もくっつきそうで、どうしても傷口をガーゼで覆ったり乾かしたりしたくなりますが、「洗った後は何もしない」のが一番なようです。せっかく自分の体内の専門家が治癒活動をしているのに、邪魔をしてしまうことになるから……忘れないようにしよう……。
 また炎症も「身体の防御反応のあらわれ」なのだとか。
 本書ではこのように多くの病気や傷害について、そのメカニズムまで詳しく解説してもらえます。
「がん」と「肉腫」の違いについても知ることが出来ました。
「身体の表面から一筆書きで書けるのが上皮(胃や腸なども含まれる)。その上皮から発生するのが癌」で、「肉腫の発生母地は、筋肉、脂肪、骨、線維など、他とは絶対につながらない組織」だそうです。……そうだったんだ。
『図解入門 よくわかる病理学の基本としくみ[第2版]』……多くの写真を使って「病気と正常はどこが違うのか」「なぜ違いが出るのか」「なぜ病気になるのか」など、病理学を分かりやすく解説してくれる本でした。興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
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『よくわかる病理学の基本としくみ[第2版]』