ちょき☆ぱたん お気に入り紹介 (chokipatan.com)
第1部 本
医学&薬学
薬理学の基本(赤羽悟美)
『運動・からだ図解 薬理学の基本』2024/10/29
赤羽悟美 (監修)

(感想)
病気のしくみと薬の働きをフルカラー図解で教えてくれる本です。
「はじめに」には次のように書いてありました。
「薬理学とは、薬が生体に作用して治療効果をもたらすしくみを解き明かす学問です。人体構造(解剖学)や機能(生理学)、外敵からの防御機構(免疫学)、疾患の成り立ち(病態生理学、病理学、感染症学など)、薬が作用する標的となる分子の構造と機能(生化学、分子生物学)の理解のうえに成り立っており、これらの学問領域と密接につながっています。薬理学は、新たな作用を持つ薬を創るための研究、よりよく効いて副作用が少ない薬を創るための研究、複数の薬を組み合わせることで治療効果を高めて副作用を軽減するための研究などを通して、薬物治療の発展に貢献してきました。」

第1章は「薬物学概論」で始まり、続く第2章以降は「脳・神経系に働く薬」「循環系・血液の薬」など体の部位や疾患ごとの薬に関する説明になっています。
最初の「薬物学概論」では、薬の種類や薬理作用に関する概要説明がありました。
ここでちょっと面白かった(?)のが、「薬の代謝と排泄」。
「薬の代謝とは、主に脂溶性の薬を、酵素の働きで水溶性の物質に変えることです。水溶性の物質になれば、腎臓から尿として体外へ排出できます。そして代謝されると薬効は失われるのです。一方で水溶性の薬は多くの場合、代謝を受けず(未変化体)に、そのまま尿として排泄されます。」
……なるほど。いつまでも体内に残って欲しくない薬は、適切なタイミングで「代謝」されて排泄される必要があるんですね……。
また「薬の相互作用」では、「注意が必要な飲食物や嗜好品」として、次のようなものがあげられていました(本書ではもっと詳しい説明があります)。
牛乳・乳製品(脂溶性の薬に影響)、ビタミンCや緑茶・コーヒー(鉄剤に影響)、グレープフルーツ(抗不整脈薬、免疫抑制薬、降圧薬などに影響)、納豆・青汁(ワルファリンに影響)、アルコール(睡眠薬、抗精神病薬などに影響)、タバコ(気管支拡張薬、降圧薬などに影響)……薬を飲むときに使うのは「緑茶」でもいいのかなーと思っていましたが、やっぱり「水」にした方が、だんぜん良さそうですね……。
そして個人的に、薬の中で一番なじみがある「かぜ薬」については……
「かぜ症候群の主な症状はくしゃみ、鼻汁、鼻閉、咽頭痛で、発熱や全身倦怠感、頭痛などをともなうことがある。自然に治癒するため、薬は症状を和らげるために用いられる。」
……「かぜ薬」は「かぜ」自体を治療するのではなく、症状を緩和するだけなんですね……すごく辛いわけではない時には、飲まない方が体にいいのかも、と思ってしまいました。
また「炎症」はそこが「身体が悪くなっている部分」だと思っていましたが、実際には「治っている途中経過」で、むしろ「良い」のかもしれません。次のように書いてありました。
「炎症とは、体の組織がダメージを受けたときに、そのダメージを修復しようとして起こる生体防御反応です。
炎症は、組織のダメージを感知したマクロファージなどがケミカルメディエーターを放出することから始まります。ケミカルメディエーターの作用で好中球が呼び寄せられ、血管が拡張し、血流が増加して局所が赤くなり熱をもちます。また血管の透過性が亢進して好中球などが血管から出て局所に集まり、血漿成分が染み出して局所が腫れて傷みます。そして局所の代謝が亢進し、免疫反応や血液凝固などの反応が進み、やがてダメージが修復されます。」
……そうだったんだ……。炎症が起こって熱がある部分には、すぐに何か貼りたくなってしまいますが……すでに体内のレスキュー隊が出動している状態なら、何もしない方がむしろ良いのかもしれません。
また最終章の「がんに対する薬」では、4種類の抗がん薬の解説がありました。
1)殺細胞性抗がん薬:細胞分裂のプロセスを阻害してがん細胞を殺すが、同時に正常細胞も阻害するリスクがある
2)分子標的薬:特異的に発現、あるいは高発現しているがん細胞のターゲット分子に作用する(正常細胞にも作用して副作用を起こすこともある)
3)免疫チェックポイント阻害薬:免疫チェックポイントタンパク質の働きを阻害することにより、がん細胞に対する免疫機構を強める
4)ホルモン療法薬:がんの増殖に関わるホルモンの受容体を阻害して、がん細胞の増殖を抑制する
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これらの抗がん薬にも副作用がありますが、そのほとんどが、薬の「がん細胞への攻撃」のための作用が、普通の細胞にも作用してしまうために発生してしまう副作用でした。分子標的薬は副作用が少ないのだろうと思っていましたが、皮膚障害などを起こすことがあるようです。また免疫チェックポイント阻害薬も、T細胞の抑制を阻害するため免疫の暴走を引き起こし、自己免疫疾患のような副作用がでることがあるのだとか……。薬って、本当に難しいものですね……。
『運動・からだ図解 薬理学の基本』……薬の作用機序を、イラストも活用して分かりやすく総合的に解説してくれる入門書のような本で、とても参考になりました。薬理学に興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
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『薬理学の基本』