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第1部 本
地質・地理・気象・地球環境
岩石のきほん(下司信夫)
『岩石のきほん: 石がかたいのはなぜ? いろいろな石があるのはどうして? 地球の活動を読み解く岩石の話 (やさしいイラストでしっかりわかる)』2025/5/8
下司 信夫 (著), 斎藤 雨梟 (イラスト)

(感想)
岩石は、地球の表面や地中で、長い時間をかけてマグマが冷えて固まったり、海底に砂や泥が堆積して固まったりしてつくられ、その構成物やでき方によって、様々な形状や色が存在します。地球の営みが生んだ奇跡の産物=岩石のことを分かりやすく解説してくれる本で、主な内容は次の通りです。
Chapter 1 岩石とはなんだろう
Chapter 2 岩石の性質
Chapter 3 さまざまな岩石
Chapter 4 岩石のうつりかわり
Chapter 5 岩石誕生のひみつ
Chapter 6 役に立つ岩石
Chapter 7 岩石を感じてみよう

「Chapter 1 岩石とはなんだろう」によると、「岩石とは、地球(天然)の成分が自然に固まった大きめのかたまりのこと」だそうです。
また驚いたことに……
「(前略)私たちが見ている地球上の岩石のほとんどは、じつは酸素をおもな成分としています。地球の表面付近の岩石でできている地殻の体積の90%以上、重さの半分近くは酸素でできているのです。(中略)
酸素はほかの元素と結びつく力が強いので、さまざまな元素、たとえばケイ素やアルミニウムなどと結びついて“酸化物”をつくります。これが岩石をつくる基本的な成分です。もう少し詳しく見てみると、地球上の岩石のほとんどは酸素とケイ素が固く結びついてできる“ケイ酸”とよばれる化合物に、さらにそのほかの元素が化合した“ケイ酸塩”とよばれる物質でできています。マグマはケイ酸塩が高温で溶けた物質で、それが冷えて固まってできた岩石のほとんどはケイ酸塩でできています。」
……岩石の主成分が「酸素」で出来ているなんて、本当に驚いてしまいました。
そして地球のでき方は……
「地球をつくる岩石が融けると、密度の大きな鉄などの金属成分は分離して地球の中心部に向かって沈み、逆にケイ素などの軽い物質は表面に向かって浮上します。このときに位置エネルギーが解放されて熱になるため、地球の温度はさらに上昇して短時間で地球の溶融が一気に進んだと考えられています。こうして、地球の材料となった岩石がいちど溶融して、密度の異なる成分ごとに地球の内部で上下に分離することによって現在の地球に見られるような成層構造が生まれたのです。」
……地球はこんな風にして出来たんですね……なんか、すごく説得力を感じます……。
さらに「Chapter 2 岩石の性質」では、地殻の移動についても、次のように説明されていました。
「流動する岩石の代表はマントルをつくるかんらん岩です。(中略)マントルの中には温度のむらがあり、深いところにあるマントルの岩石は高温ですが、地表に近いところの岩石は冷やされて温度がやや低くなっています。すると、低温で密度が大きいマントル岩は沈もうとし、代わりに高温のマントルが浮力を受けて上昇しようとします。こうしてマントルのかんらん岩の中に力が加わり、マントルの中には地球規模の大きな流れができます。この流れの速度は年間数cm以下というゆっくりとしたものですが、この流れにのってその上にある地殻は移動します。」
……なるほど。
そして「Chapter 3 さまざまな岩石」では、例えば「海が干上がってできた岩石」として、石灰岩や岩塩などのでき方が解説されていました。蒸発で海水が減少すると、海水に溶け込んでいた塩類が結晶となって海の底に沈殿して固まり岩石になるのですが、初めは炭酸カルシウムが石灰岩として沈殿、さらに蒸発が進むと硫酸カルシウムが石膏になって沈殿、もっと蒸発が進むと塩化ナトリウムが岩塩になって沈殿というようになっているようです。
また「Chapter 5 岩石誕生のひみつ」では、岩石の古さの測り方について……
「地殻にたくさん含まれているカリウムという元素は、ごくわずかですがカリウム40という放射性の同位体が含まれています。カリウム40は時間とともに壊れてアルゴン40とカルシウム40に変わっていきます。このカリウム40からアルゴン40への変化はマグマの中でも岩石の中でも起こります。でも岩石が溶けているときには、希ガスであるアルゴンはマグマから簡単に抜け出してどこかに行ってしまいます。しかしマグマが固まって岩石になるとアルゴンは岩石から抜け出すことができなくなり、時間がたつほど岩石の中にカリウム40から生まれたアルゴン40がたまっていきます。この減っていくカリウム40と増えていくアルゴン40の相対的な量をくらべると、マグマから岩石が固まってからの経過時間を知ることができるのです。」
……というような方法で測れるそうです。なお、ストロンチウムやウラン、鉛などの放射性同位体を使った年代測定法もあります。
『岩石のきほん: 石がかたいのはなぜ? いろいろな石があるのはどうして? 地球の活動を読み解く岩石の話』……岩石には、地球の壮大な歴史が詰まっていることを分かりやすく教えてくれる本で、とても勉強になりました。「1テーマ1見開き」で完結するように構成されているので、隙間時間にパラパラ読むのにも適していると思います。みなさんも、ぜひ読んでみてください。地学が好きな方には特にお勧めします☆
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『岩石のきほん』