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第1部 本
健康&エクササイズ
救急医からの警告(鹿野晃)
『救急医からの警告』2025/4/24
鹿野 晃 (著)
(感想)
身近な人が倒れて慌てて救急車を呼んだ時に言われる「高度な治療を望みますか?」という質問の真意は、「ありとあらゆる手段を使い、蘇生を試みますか?」という意味で、実は、高齢の患者をむしろ苦しめることもある……もしもの時に後悔しないために、長年救急の現場に立ち続けた医師の鹿野さんが「命の真実」を伝えてくれる本で、主な内容は次の通りです。
第1章 誰も教えてくれない救急医療の裏側
第2章 医師が明かす延命治療の真実
第3章 医療現場の「常識」と「非常識」
第4章 人生100年時代の健康管理法
第5章 重症患者「日本」の病巣
*
「第1章」には、次のように書いてありました。
・「(前略)実際の救急医療の現場から、ぜひみなさんにお伝えしたいことがあります。
それは、突然やってくる家族や大切な人の救急時、その場の雰囲気で「やれることは全部やってください」と安易に延命治療や医療をお願いしないこと。」
・「初めての救急車、家族の一大事にパニック状態の中、あなたは大きな決断を迫られます
救急隊員から「高度な医療を希望されますか?」と聞かれるのです。
「高度な医療」には、胸骨圧迫、電気ショック、気管挿管、人工呼吸器の装着などが含まれます。しかし、こうした処置の副作用や後遺症についての説明は十分ではないことが多いのです。」
……救急車に家族を乗せるときに「高度な医療を希望されますか?」と聞かれたら、何とか助けて欲しい気持ちから「お願いします」とすぐに答えてしまいそうになりますが、この本を読んで、家族のためを思って言ったはずの「はい」が、むしろ家族を苦しめることになることもあることを知りました。実は……
「救急の現場で「高度な治療」を希望すると、それは「あらゆる手段を尽くした救命処置、延命処置のフルコースを受けたい」という意思表示になります。」
……そしてこれは、「患者にとって非常につらい処置になることが少なくない」そうで、例えば……
「心肺蘇生には胸骨圧迫(心臓マッサージ)、電気ショック、血圧が下がってきたときに使う昇圧剤(強心剤)などの使用が含まれ、身体に大きな負担がかかります。これらの処置により心臓は動き始めても、意識が戻らず植物状態になり、数カ月や数年単位で死を迎えることもあります。」
……そうだったんだ……。
また救急車を呼ぶべきかどうか迷う場合は、次のようにすると良いようです。
「緊急度の判断に迷う場合は、まず「#7119」に電話をしましょう。医師・看護師・相談員が病気やケガの状態を把握して、緊急性について判断してくれます。」
……ただし次のような状態の場合は、緊急性が高いので躊躇せずに救急車を呼ぶべきなのだとか。
・意識が朦朧としている。または正常な受け答えができない
・起き上がれないほど衰弱している
・頭痛、胸痛、腹痛など冷や汗をかくほどの強い痛みがある
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また「第2章 医師が明かす延命治療の真実」でも……
「高齢者にとっての延命治療は、非常につらく、見ていて心が痛むようなものであり、それでいて助かる可能性はごくわずか。もしものときに備えて、自分が延命治療を望まないことを家族に伝えておくことも大事です。」
……「延命治療」とは、「自力で生命機能を維持できない患者に対して行われる医療行為のこと」で、例えば呼吸が困難な患者さんには、人工呼吸器の装着などを行いますが、2週間ぐらいで管に分泌物固着などの問題が発生して、気管切開(喉に穴を開けて人工呼吸器をつける)→栄養摂取問題が発生→鼻から胃にチューブを入れて流動食に→さらに問題発生で胃ろう造設などと、どんどん進んでいき……意識もないまま、たくさんの管で、ただ生かされているだけの状態になってしまうことが多いようでした。
でも実は、外来治療に来た患者さんは、ほぼ100%、自分の延命治療を望んでいないそうです。患者さんの真の望みは「ピンピンコロリ」だそうで……これは私自身もそうなので、その気持ちがよく分かります。病院のベッドで管だらけになって、ただ横になっているだけ(生きているだけ)なんて、まったく楽しくなさそうだし、しかもそれが家族の負担にならないはずがないので、望まないどころか「断固拒否」したいぐらいです。
えーと、本書では他にも「第4章 人生100年時代の健康管理法」で、骨密度検査やフレイルにならないための方法など、とても参考になることが紹介されていました。
さらに現在の医療現場での問題についても、過酷な労働環境や、高額化する医療費問題、命の選別など、さまざまな問題が指摘されていました。
これら医療現場の問題を根本的に解決するには、国の仕組みを変えていく必要があるようです。
「おわりに」には、次のようなメッセージがありました。
「医療に関心を持ち、正しい知識を身につけ、そして必要なときには声を上げる。家族や友人の健康を気遣い、地域社会に貢献する。政治や経済の動向に注目し、自分の意見を持つ。こうした一つひとつの小さな行動が、やがて大きな変化を生み出すのです。」
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『救急医からの警告』……救急現場や延命治療の問題、病院の過労問題など、さまざまな問題をリアルに教えてもらえる本で、とても参考(勉強)になりました。健康には気をつけているので、病院を受診することがあまりない私ですが……当面は、今まで通り「運動・食事・睡眠・社会生活」を充実させることを続けていきたいと思います。
それでも、いつなんどき救急車のお世話になるかは分からないので、「医療に関心を持ち、正しい知識を身につける」ために、少しずつ医学や病院の知識もつけていきたいと思います。
みなさんも、ぜひ読んでみてください。
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『救急医からの警告』