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第1部 本

社会

生成AI活用の最前線(マー)

『生成AI活用の最前線: 世界の企業はどのようにしてビジネスで成果を出しているのか』2025/3/5
バーナード・マー (著), & 2 その他


(感想)
 世界の企業はどのようにビジネスにAIを活用し成果を出しているのかについて、さまざまな分野における生成AIの事例を紹介してくれる本で、主な内容は次の通りです。
第1部 AI革命の幕開け
第1章 生成AIの解明――新たなフロンティア
第2章 生成AIの進化の軌跡を辿る
第3章 社会とビジネスエコシステムの革新
第4章 生成AIのリスクと管理すべき4つの課題
第5章 生成AIが職業に与える影響
第2部 生成AIの活用
第6章 メディアとエンターテインメントの新時代
第7章 広告とマーケティング――創造性とAIの架け橋
第8章 インテリジェントシステムを通じた顧客エンゲージメントの再構築
第9章 新たな小売業の世界――バーチャル試着、AIショッピングアシスタントの台頭とその先
第10章 パーソナライズされた学習――教育の未来
第11章 医療の変革――パーソナライズされたアドバイスから業務改善まで
第12章 ビデオゲームの設計とテスト――生成AIアプローチ
第13章 法律分野におけるAI活用――AIによる文書作成とレビューの支援
第14章 未来を創る――デザインと開発におけるAIの活用
第15章 銀行業と金融サービス――AIの持つ破壊的な力
第16章 コーディングとプログラミング――生成AI導入による革命
第17章 生成AIの力を活用して得られるデータインサイト
第3部 生成AIとの前進
第18章 生成AI導入の成功の鍵
第19章 生成AIの進化の未来
日本語版解説
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 第1部では、生成AIの概要、動作原理、世界やビジネスのあり方をどう変えるか、そして個々人の仕事に与える影響について、さらにリスクや課題の概要を紹介。
 続く第2部では、企業や組織の生成AIの導入事例と、そこから得られる教訓の紹介。
 そして第3部では、生成AIを企業や組織に導入する際に重要となる成功要因の解説と、生成AIの将来予測についての紹介、という構成になっています。
 第1部の第4章では、生成AIのリスクと管理すべき4つの課題として、次の4つがあげられていました。
1)倫理的懸念:生成AIが誤情報や偽情報、プロパガンダを広める可能性があること、人々が生成AIに過度に依存することで重要なスキルを失う可能性があること、そしてAIシステムの制御を失う恐れ(医療、金融、防衛で重大な損害)があることなど
2)データのバイアスやAIの仕組みを理解することが難しいという問題
3)法的な障害:著作権問題や、AIを管理するための規制フレームワークが発展途上
4)環境への影響:大量のエネルギー消費や、AIハードウェアの製造に使用される希少資源など
 ……このような課題があるので、「企業が生成AIを導入する場合、透明性、プライバシー、倫理、安全性を重視した責任ある方策を見つけることが極めて重要」で、「AI生成コンテンツのファクトチェックをする」ことや、「強力な監視、倫理的ガイドライン、安全策が絶対に必要」なのだそうです。
 第5章では、生成AIが職業に与える影響として、次のようなことが書いてありました(この章の「まとめ」から一部を抜粋紹介)。
・ほぼすべての職業が、何らかの形で生成AIの影響を受ける。いくつかの職業は不要になり、多くの職業はAIツールによって拡張される。また、新しい職業も生まれる。
・繰り返しの多い仕事、予測可能な仕事、人間の深い直感を必要としない仕事は、生成AIによって自動化されるリスクが最も高い。
・教育、医療、マーケティング、人事など、さまざまな分野にわたる専門職が生成AIを取り入れて適応するだろう。これにより、専門家は人間にしかできないスキルを必要とする側面に、時間と労力を集中させることが可能になる。
・人間の手による仕事、直感、繊細な判断、創造性、人間関係、実践的な専門知識は、今後の職業市場でも依然として重要な役割を果たす。
・さらに、AIプロンプトエンジニアやAIリテラシー教育者など、個人や組織が生成AIの恩恵を最大限に引き出すための新しい職業が登場する。
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 そして第2部では、生成AIの活用事例が多数紹介されていきます。
 例えば第8章では、生成AIの最大のメリット(パーソナライズ)について……
「(前略)新たにパーソナライズされたオファリング、予防的介入、インテリジェントな製品やサービスを通じて、生成AIはブランドと顧客の対話方法に変革をもたらす。」
 また予測AIのメリットとして……
「交通業界でも、通勤利用者は間違いなく積極的なサービスの恩恵を受けることができる。あるルートを頻繁に利用する人が、遅延や工事が予想される場合、公共交通網が生成AIを活用して代替ルートや交通手段を事前に提案することが考えられる。」
 ……と書いてありました。これらはさまざまな業界でも活かせるメリットだと思います。
 またゲーム業界、ソフトウェア業界でも生成AIは作業を大幅に効率化してくれるようで、AIによるリアル地形生成、キャラクターやその他の要素の3Dモデルの作成効率化、コンピュータコードの記述、レビュー、およびテストの自動化等で使えるようでした。
「生成AIがビデオゲームに付加価値を与えるもう1つの方法は、ゲームテストおよび品質保証の分野である。生成AIは、ゲーム内のバグや欠陥を自動的に検出し、それらを優先度やゲームへの影響に基づいてランク付けすることができる。また、AIの予測能力を活用すれば、ゲーム内の潜在的な問題を予測するためにデータを分析し、開発者が事前に対策を講じることが可能になる。
 さらに、生成AIは複数の仮想プレイヤー(つまりボット)を作成し、AIによって生成された異なるプレイスタイルに従ってゲームをテストすることができる。」
 ……まさに、生成AIは、ほとんどすべての業界の仕事に影響を与えるんですね!
 最後の第3部では、生成AIを成功裏に導入するには、文化とマインドセットの変革が必要(好奇心、謙虚さ、適応力、協力を受け入れるマインドセットが求められる)などの他、AIとロボットとの組み合わせなど、生成AIの進化の未来についても紹介されています。
 さらに巻末には「日本語版解説」もあり、生成AIのリスクを抑制し、価値を最大化するための生成AIのガバナンス構築には、次の2つがあることが書いてありました。
1)予防的ガバナンス
・生成AIの利用ルールの策定
・生成AIの利用マニュアルの作成
・リスクチェック体制の構築
2)発見的ガバナンス
・ログの取得(不適切な使用の検出)
・出力制限(利用目的に沿った質問以外には答えないようなセーフガード機能)
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『生成AI活用の最前線: 世界の企業はどのようにしてビジネスで成果を出しているのか』……今後、私たちの社会の中でさらに重要性を増していくことが確実な生成AIについて総合的に解説してくれる本で、とても参考になりました。みなさんも、ぜひ読んでみてください☆
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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『生成AI活用の最前線』