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第1部 本
生物・進化
ぜんぶ絵でわかる9すごい骨の動物図鑑(盛口満)
『ぜんぶ絵でわかる9すごい骨の動物図鑑』2024/12/20
盛口満 (著)
(感想)
魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類……200種以上の動物の骨をイラストで徹底図解。盛口さんがコツコツ拾い集めた膨大な数の動物の骨から分かる、生きものの生態と進化のフシギについて解説してくれる骨の教科書で、主な内容は次の通りです。
序章 骨を楽しむための骨のキホン
第1章 魚類
[軟骨魚類]シュモクザメ、ダルマザメ、ラブカ、ノコギリザメ、ノコギリエイ
[硬骨魚類]メカジキ、ヨコシマクロダイ、トビウオ、カンムリブダイ、コバンザメ、ハリセンボンなど
第2章 両生類・爬虫類
[カエル]ハナサキガエル
[トカゲ]カメレオン、トビトカゲ、イグアナ
[ヘビ]ヨナグニシュウダ、メクラヘビ
[カメ]セマルハコガメ、スッポン、タイマイ
[ワニ]ワニ
第3章 鳥類
[体を構成する骨]フクロウ、アオバズク、オカメインコ、ニワトリ
[食性の多様性]カワウ、カツオドリ、フラミンゴ、ヤマシギ
[移動方法の多様性]コアホウドリ、キングペンギン、ダチョウなど
第4章 哺乳類
[歯]ライオン、オオカミ、イリオモテヤマネコ、ヒグマ、ジャイアントパンダ、ゴリラ、アルマジロ、オオアリクイ、カピバラ アジアゾウ、ジュゴン、イルカ、バビルサなど
[角]シロサイ、トナカイ、ニホンカモシカ、キリン
[四肢]ウマ、カンガルー、モグラ、ナマケモノ、ムササビ、コウモリ、アザラシ、クジラ
序章には、次のように書いてありました。
・「この本は、背骨をもつ動物・脊椎動物の骨格の多様性をテーマにしています。」
・「現在の地球には140万種の動物が生息し、その大半を占めるのが背骨をもたない節足動物である。次に多いのがこれまた背骨をもたない軟体動物で、脊椎動物の種数は全体の4%ほどに当たる約6万2000種である。」
……脊椎動物って、意外に少なかったんですね。
そして「骨」については……
・「骨全体の3分の2は、しなやかさをもたせて折れにくくするコラーゲンと、じょうぶにする働きのあるリン酸カルシウムでできた非常に硬い組織。残りのおよそ3分の1は水分で構成されている。骨芽細胞や血球系細胞などをふくむ血液や骨髄などの水分が骨の内部で重要な働きをしている。これら細胞の働きで絶えず骨はつくり変えられている。」
・「骨の表面は強い膜状の組織「骨膜」でおおわれ、その下は強くてじょうぶな骨質「緻密質」があり、その内側には「海綿質」と呼ばれるスポンジ状の軽い骨がつまっている。骨内部の空洞には骨髄が入っている。骨髄はゼリー状で、ここで血液(赤血球・白血球・血小板)がつくられる。」
……骨はとても大切な組織ですね!
たくさんの骨の標本を作ってきた盛口さんなので、骨の標本作りについても、とても実践的なアドバイスがたくさんありました。例えば……
・「軟骨は煮ると軟骨の形が保てなくなるので、生のまま除肉して、薬品等で仕上げる必要があるのです。」
・「魚は煮てしまえば骨から肉を簡単に外せるが、魚の骨はパーツが多いため、一度バラバラにした骨をくみ上げられるようになるには大変な修練が必要。」
ハナサキガエル
・「図示した全身骨格(注:ハナサキガエル)は、骨を取りだしてから組みたてたものではありません。生の状態で大まかに除肉してから、入れ歯用洗浄剤などを使って細かな肉を取りさって作成したものです。小型~大型のカエルでは、この方法が有効だと思います。」
・「小型の動物の場合は、剥皮やおおまかに除肉したあとに、入れ歯用洗浄剤を使って細かな部分の肉を溶かしていく。これにはもちろん、入れ歯用洗浄剤(中略)を購入する必要がある。」
巻末近くには、実際に使用している骨格標本作りの道具もイラストで紹介されていました。
さて、この本のメインは「標本作りの方法」ではなく、「骨の動物図鑑」です。魚類、両生類、鳥類、哺乳類などの多数の骨の標本が、続々登場してきて、まるで骨の博物館☆ 表紙の図でも分かるようにイラストがとても見事で、見応えがありました。
骨の構造の特徴や、進化についても興味深い解説をたくさん読むことが出来ました。
例えば「鳥の骨は空洞」という項目では……
「鳥は、肺のほかに気嚢と呼ばれる呼吸器官が備わっています。口から吸った空気は、肺と機能を一方通行で通過、はき出されるため、私たちより効率の良い呼吸ができます。また、気嚢の一部は骨の中にも入り込んでいるので、上腕骨などは中空になっています。(中略)この骨が中空になる仕組みは、鳥が空を飛ぶためにも、体の軽量化などで大きく役立ちました。また、中空の骨の強度を高めるため、骨の内部には筋交と呼ばれる支柱のような構造がみられます。」
……気嚢の一部は骨の中にまで入り込んでいるんですか! 鳥はスペースを無駄にしないんですね……。
『ぜんぶ絵でわかる9すごい骨の動物図鑑』……博物館で見るような美しくて詳細な骨のイラストをじっくり、たくさん見ることが出来る本でした。骨好きの方はもちろん、動物が好きな方も、ぜひ読んで(眺めて)みてください☆
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『ぜんぶ絵でわかる9すごい骨の動物図鑑』