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第1部 本

描画参考資料

土木遺産さんぽ(阿部貴弘)

『土木遺産さんぽ―まち歩きで学ぶ 江戸・東京の歴史―』2024/12/16
阿部貴弘 (著)


(感想)
 個々の土木遺産に関わる技術的な解説とともに、土木遺産を通して見た街の履歴や暮らしの記憶を紐解いている「土木遺産さんぽ」の本。およそ2時間程度の行程で、複数の土木遺産を“見て歩く”こと、つまり「さんぽ」することを想定して各章が構成されていて、主な内容は次の通りです。
はじめに
Ⅰ 都 心 編
1 日本橋 江戸・東京の中心地を歩く
2 四谷・赤坂 江戸城外濠の西縁を歩く
3 飯田橋 江戸・東京の交通の要衝を歩く
4 神田駿河台 神田川沿いのまちを歩く
5 神田上水 江戸の上水跡を歩く
6 北の丸公園 江戸城北の丸周辺を歩く
7 芝公園 日本最古の公園周辺を歩く
8 神宮外苑 東京オリンピックの舞台を歩く
9 内藤新宿 甲州街道 内藤新宿を歩く
10 新宿西口 新都心を歩く
11 築地・月島 江戸・東京のウォーターフロントを歩く
Ⅱ 城東・城南・城西編
1 品川 東海道 品川宿を歩く
2 千住 日光・奥州街道 千住宿を歩く
3 上野 東京の北の玄関口を歩く
4 浅草・押上 隅田川河畔の観光拠点を歩く
5 両国・浅草橋 隅田川両岸をつなぐまちを歩く
6 深川 掘割運河のめぐるまちを歩く
7 柴又 江戸川河畔の観光拠点を歩く
8 中野 変化を続ける西郊のまちを歩く
Ⅲ 近 郊 編
1 青梅 青梅宿と多摩川沿いを歩く
2 川崎 東海道 川崎宿周辺を歩く
3 横浜 近代の港町を歩く
おわりに
   *
 最初に登場するのは、「1 日本橋 江戸・東京の中心地を歩く」。
 現在の日本橋は……
「(前略)20代目にして初めて石造で架橋されたのが、1911(明治44)年4月3日に開橋した現在の日本橋です。(中略)
 五街道の起点であった日本橋は、その後、国道の起点にも定められました。それを示すのが、2つの道路元標「東京市道路元標」と「日本国道路元標」です。(中略)
 日本国道路元標は、現在も日本橋の中央に埋め込まれていますが、4車線の車道の中央に位置するため、普段は近くで見ることができません。そこで、移設された東京市道路元標の隣に、日本国道路元標の複製が設置されていますので、どうぞこちらをご覧ください。」
 ……日本橋でこの「日本国道路元標」を見たときには、「まさに、ここが日本の起点なんだ!」と興奮してしまいましたが、あれ……複製だったんですか……。
 ところで実際に行ってみると、日本橋と日本橋川の直上には首都高速道路の高架橋が架かっていて、陽がさえぎられて「あの日本橋」が暗い感じになっていることに、なんとなく複雑な気持ちになりましたが、これは1964年の東京オリンピックに向けて急いで建設されたからだそうです。ところが、なんと……
「現在、日本橋直上の首都高速道路を地下化するプロジェクトが進行中です。完成はしばらく先になるでしょうが、後世に恥じぬプロジェクトとなるよう、しっかりと知恵を絞らなければなりませんね。」
 ……えー、そうだったんだ。あの界隈の景観が大きく変わるんですね。ワクワク☆
 また「6 北の丸公園 江戸城北の丸周辺を歩く」では……
「1590(天正18)年、徳川家康は江戸に入ると、城郭及び城下町の建設に着手します。この建設事業の一環で、飲料水を確保するため、江戸城の北を流れていた沢がせき止められ、現在でいうダムが建設されました。これが「千鳥ヶ淵」と「牛ヶ淵」です。」
 ……へー、桜で有名なあの美しい千鳥ヶ淵は「ダム」だったんだ(笑)。
 そして、とても面白かったのが、「7 芝公園 日本最古の公園周辺を歩く」の愛宕山……
「芝公園をあとに、東京タワーを背に北へと歩みを進めると、「愛宕山」が見えてきます。山と言っても標高はわずかに25.7mですが、実は天然の山としては東京23区で“最高峰”を誇ります。(中略)
 愛宕山の麓に目を向けると、南北に細長い愛宕山のちょうど真ん中あたりに、東西をつなぐトンネルが彫られています。東京都23区内唯一の山岳トンネルと言われる「愛宕隧道」です。」
 ……愛宕山は東京23区の最高峰だったんだ。「山岳トンネル」もあるんだ……(笑)。
 この他にも、興味深い「土木遺産」が簡単な地図と写真でどんどん紹介されていきます。
 また「Ⅲ 近 郊 編」では、私も大好きな「3 横浜 近代の港町を歩く」のコースもありました。横浜の桜木町駅を起点として港方面へ歩くコースで、横浜港の造船・修船を支えた横浜船渠(帆船・日本丸も係留されている)や、臨港鉄道配線跡を利用した「汽車道」遊歩道、赤レンガ倉庫、横浜港を見渡せる公園(象の鼻パーク)の他、2021年に運行を開始したロープウェイもあるという、とてもバラエティに富んだ散歩道です。晴れた日に歩くと、本当に気持ちいいですよ☆
『土木遺産さんぽ―まち歩きで学ぶ 江戸・東京の歴史』……交通の便が良い東京の各地を、2時間程度で散歩しながら土木遺産を鑑賞したり、歴史を感じたりできる楽しいガイドブックでした。東京近郊の方は、ぜひ読んで・眺めて・歩いてみてください☆
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『土木遺産さんぽ』