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第1部 本

生物・進化

キリンのひづめ、ヒトの指(郡司芽久)

『キリンのひづめ、ヒトの指: 比べてわかる生き物の進化』2022/9/28
郡司 芽久 (著)


(感想)
 手足、首、皮膚、心臓など8つの器官を通して、さまざまな動物の体に刻まれた進化の歴史をひも解いて教えてくれる本で、内容は次の通りです。
はじめに――解剖からひも解く生き物の進化
第1章 肺 息苦しい水中への対応策
第2章 手足 手のひらを返すヒト、返せないキリン
第3章 首 頭と肩に挟まれた隙間
第4章 皮膚 外から支える偉大な「臓器」
第5章 角 その不思議な魅力
第6章 消化器官 たくさん食べるか、無駄なく消化か
第7章 心臓 はるか遠くへと血液を運ぶ旅
第8章 腎臓 「毒」の排出を担う器官
第9章 呼吸器 酸素の取りこぼしを減らす工夫
第10章 進化とは妥協点を探ること
あとがき――自分の体を知ることは
   *
「はじめに」には、次のように書いてありました。
「(前略)解剖によって明らかになった体の構造を別の動物と比較すると、構造の違いを把握することができる。近縁な種からすこし遠い“親戚”にあたる種までいくつもの比較を繰り返し、「違い」をひとつずつ解き明かしていけば、ある動物の体が進化の過程でどのように変化してきたのかを知ることができる。」
 ……なるほど。解剖で体の構造を詳しく調べることで、どのように進化してきたかを推定することができるんですね。
「第1章 肺 息苦しい水中への対応策」にも、次のように書いてありました。
「異なる種を比較し、似ている部分をひとつずつ見つけていくと、特定のグループに共通した“体づくりの基本ルール”を発見することもできる。」
 まず「肺」については、原始的な魚の仲間が「肺のような器官」をもつようになったのは、約4億年前(デボン紀)だそうです。デボン紀に大繁栄した原始的な魚の仲間は、大陸衝突などで新たに現れた河川や池に進出したのですが、そこは海よりも酸素が少ない場所でした。そこで肺のもとになった袋(喉の奥に一対の小さい袋状の器官)をもち、エラ呼吸に加えて、この器官にためた空気からも酸素を取り入れることができるものが生まれたようです。その後、この袋状の器官は浮袋として使われたり、長い期間を経て肺へと進化したりしたのだとか……。
 また「第2章 手足 手のひらを返すヒト、返せないキリン」では、キリンの足は半分が「足の裏」だという意外なことを知りました。なんとキリンの後足の真ん中あたりにある関節は「膝」ではなく「かかと」で、キリンの足は半分が人間でいうところの「足の裏(70~80センチ)」、同様に前足も半分が「手のひら」だそうです。その理由は……
「キリンやダチョウの足は、立派な筋肉がついている太腿が短く、筋肉が少なくて軽い「足の裏」が長くなっているため、すばやく足を振るのに有利なかたちをしている。足を1本の棒と考えると、先端が重くなっている棒よりも、先端が軽い棒のほうが、より小さな力でよりすばやく動かすことができるというわけだ。彼らのユニークな体形は、走行に適した進化を遂げた結果といえる。」
 またキリンの二つに割れたひづめ(つまり指が二本しかない)については……
「(前略)数が少なくあまり動かない指は、指先の安定性を高め、足先の軽量化にも貢献する。硬いひづめは力強く地面をけるのにも役立ち、歩行や走行には適した構造だ。」
 ……なるほど。キリンは走行(逃走?)しやすいように進化してきたんですね!
 こんな感じで「首」、「皮膚」、「角」、「消化器官」、「心臓」、「腎臓」、「呼吸器」についても、生物たちが、いろいろな進化の仕方をしてきたことを知ることが出来て、興味津々でした。
 そして最後の「第10章 進化とは妥協点を探ること」には、次のように書いてありました。
「さまざまな生き物の体の構造を見比べていくと、メリットのみの進化なんてごくごく一部の例外なのではないだろうかと思わされる。さまざまな制約があるなかで、デメリットを受け入れたうえで、「それでもなんとかうまくやっていける」という妥協点を採る過程が、進化の本質なのかもしれない。」
 ……その通りだと思います。そして、この過程は、進化だけでなく、私たちの社会の本質でもあるのかもしれません。……いろんな問題はあるけど、少しずつそれに対応して、「それでもなんとかうまくやっていける」努力をし続けることが大事なのでしょう(苦笑)。
 進化について、いろいろなことを分かりやすく語ってくれて、とても面白い進化の本でした。解剖学の視点から語ってくれるので、科学的で説得力を感じます。
「からだ」を題材にしたエッセイを目指して書いてあるそうで、とても読みやすくて、へーと面白がりながら読んでいくうちに生物や進化の知識もついていく素敵な本です。みなさんも、ぜひ読んでみてください。お勧めです☆
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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