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第1部 本

脳&心理&人工知能

14歳からのニュートン超絵解本 脳

『14歳からのニュートン超絵解本 脳』2022/11/16
ニュートンプレス (その他)


(感想)
 記憶や感情,そして思考をつかさどる「脳」のメカニズムを、科学雑誌ニュートンらしい豊富なイラストや写真とともに分かりやすく解説してくれる本で、内容は次の通りです。
1 ヒトの脳はこんなにすごい
2 脳の進化と発達のしくみ
3 脳の構造をみてみよう
4 記憶と学習のメカニズム
5 意識や感情を生みだす脳
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「1 ヒトの脳はこんなにすごい」では、「天才たちは夢の中でひらめく」のかもしれないということが、次のように書いてありました。
「記憶(知識を含む)は、大脳の外側の層である「大脳皮質」とよばれる部分に分散して保存されます。私たちが目覚めて活動しているときは、必要な脳内の神経細胞のネットワークのみが活動し、不要な情報は意識にのぼらないようにおさえられます。
 ところが、睡眠(レム睡眠)中はこの抑制がはずれ、目覚めているときにはつながっていなかった神経細胞のつながりが可能になります。そのため、通常では考えられないような記憶の組み合わせが生じて、斬新なアイデアがひらめくのではないかと考えられます。」
 ……へー、そうなんだ。睡眠中には脳のネットワークが整理されているんだろうと思っていましたが、こんなふうに、ひらめくことがあるといいですね!
 また「2 脳の進化と発達のしくみ」では、ヒトの脳の出来かたが、次のように紹介されていました。
「ヒトでは受精後17日ごろに、すべての神経系のもとになる神経板ができます。そして受精後3週くらいに神経板からチューブ状の神経管ができあがります。この神経管が屈曲し、膜が厚くなるようにして脳が形成されていきます。チューブの膜のなかでは、「マトリックス細胞」がエレベーターのように上下しながら分裂をくりかえし、ニューロンをつくります。できたニューロンはチューブの外側にどんどん加わっていき、神経回路を築きます。」
 また、大脳皮質の構造は、次のようになっているようです。
「大脳皮質のシートを拡大すると、大きさや形の似たニューロンが集まってつくる、6層の構造が見えます。また、これらのニューロンは、約2500個ずつが直径0.5ミリメートル、高さ2.5ミリメートル程度の円柱状の単位に分かれて機能していることがわかってきています。この円柱を「コラム」といいます。ヒトの進化の過程において、コラムの数が増えたことで、大脳皮質が水平方向に広がっていったと考えられています。」
 そして「3 脳の構造をみてみよう」では、「直観」が尾状核に関係していることが、次のように書いてありました。
「(前略)大脳基底核にはいくつかの領域があり、直観にかかわるのは尾状核です。私たちは無意識のうちに、危険や利益を計算しながら次にとるべき行動を決めています。尾状核は、こうしたはたらきをにないます。
 プロ棋士が次の一手を決めるときは、候補となる情報が大脳皮質から尾状核へ行き、そこから大脳基底核内を巡回します。その中からふたたび大脳皮質にもどった情報のみが意識にのぼるのです。」
 また「直観」には、小脳も関係しているのかもしれません。次のような小脳仮説があるそうです。
「私たちが経験したことは、脳内の「海馬」に一時保存されたのち、大脳皮質の「前頭前野」以外の場所に分散して保存されます。前頭前野はこれらの記憶を参考にしながら、分析や判断をくりかえします。すると、いつしか小脳が大脳皮質の記憶を、前頭前野が無意識に判断・分析できるような形(内部モデル)に変えて、小脳内に保存するようになります。こうすることで前頭前野は大脳皮質の記憶とともに、小脳の記憶も使えるようになるのです。
 小脳に保存された記憶を使うと、大脳基底核を使った場合と同じように、無意識的にすばやい反応をおこせます。これが直観を生むのではないか、というのです。」
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『14歳からのニュートン超絵解本 脳』、イラストと分かりやすい解説で、脳について総合的に知ることが出来る本でした。ここで紹介した以外にも、「一つ一つのニューロンに特定の記憶が保存されるのではなく、ニューロンのネットワーク自体が記憶」とか、「光に反応して構造を変えるタンパク質のチャネルロドプシンを使って、脳の活動を光であやつる技術」とか、興味津々な内容が満載です。「脳」に興味がある方は、ぜひ読んでみてください☆
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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