ちょき☆ぱたん お気に入り紹介 (chokipatan.com)

第1部 本

数学・統計・物理

いやでも物理が面白くなる〈新版〉(志村史夫)

『いやでも物理が面白くなる〈新版〉 「止まれ」の信号はなぜ世界共通で赤なのか? (ブルーバックス)』2019/3/13
志村 史夫 (著)


(感想)
「光」、「電気」、「力とエネルギー」「万物の究極構造」、「時間と空間」という5つのテーマで、身近な物理現象を分かりやすく解説してくれる本です。「止まれ」の信号はなぜ世界共通で赤なのか? 肉屋の肉はなぜ美味しそうに見える? 人工衛星はなぜ地球を周回できる? 朝日や夕日はなぜ赤い? などの身近な疑問を「物理」で明快に解き明かしてくれるのです。
「物理」は私にとって、数学と同じく苦手科目だったので、実を言うと「いやでも物理が面白くなる」ことを期待してはいなかったのですが(汗)、驚くほど「目からウロコ」がボロボロ落ちて、凄く興味深い内容が満載でした☆
 まず「光」について。その不思議な特性についての一般的な解説(これもすごく分かりやすかったです)の後、「光自体には色がない」という話が! 実は、この直前に虹の話をしていて、「虹の色は七色ではなく無数」だと言っていたので、「光自体には色がない」ことに、ますます驚かされました。
 なぜ「光自体には色がない」ことが分かるかと言うと、「宇宙が真っ暗」だからだそうです。
「太陽光が「走る」宇宙空間は無明の闇である。太陽光自体が色を持っているのであれば、宇宙空間にその色が見えるはずだ。」
「私たちに物体が「見える」ということは、物体から反射された可視光が網膜の感覚細胞、視神経を刺激し、その刺激を大脳が認識するということだった。「色」も同様である。
 色とは、光が眼に入り、大脳にその刺激が伝えられたときに生じる「感覚」である。いわば、光は、そのような「感覚」を生じさせるものにすぎない。もう少しまともないい方をすれば、そのような「感覚」を生じさせるエネルギーが光である。(中略)
 光(電磁波)に満ちた宇宙空間が真っ暗闇なのは、光自体に色や形がないことのほかに、光を反射し、その反射光を観察者の目に届ける物質が何もない。つまり真空だからでもある。」
 ……なるほど、確かに……。
 さらに「物にも色がない」のです! 青いガラスが青く見えるのは、そのガラスがそのような性質の物質からできているから(青く感じさせるのは、そのガラスが発する「青いという感覚を大脳に感じさせる光」のため)なのです。
「チューリップの花が赤く「見える」のは、花弁が、照射される白色光のうち赤色光(正確には「赤いという感覚を大脳に感じさせる光」)のみを反射し、他の光を吸収してしまうから」
 ……この話の先に「「止まれ」の信号はなぜ世界共通で赤なのか?」があるのですが、その理由については、ここでネタバレをしたくないので、ぜひ本書を読んでみてください。
 また「力とエネルギー」では、潮の満ち干に関する次の話に、驚かされました。
「(前略)月の引力と満潮・干潮との関係を述べたが、当然、このような引力は地殻の変動にも影響を及ぼす。事実、私たちが立っている地面は、その引力のためにほぼ一日に2回、上下に動いており、その差は最大で20~30cmにもなるらしい。だとすれば、月の引力によって地震が誘発されるようなこともあり得るだろう。2000年6月以降、伊豆諸島の一つである三宅島の火山活動と並行して山頂直下を震源とする地震が頻発したが、その発生は、一日2回の満潮時間の頃に集中していたそうである。」
 ……月と地球の関係で満潮・干潮が起こることは知っていましたが、陸地でも同じ現象が起きているんですね! 考えてみれば当然のことでしたが、「最大で20~30cm」という大きさに驚き、地震とも関係がありそうなことにも驚きました。でも……地球をそれだけ歪ませているのだから、地震に関係するのも当然ですよね……。
 また「万物の究極構造」では、宝石の話に興味津々。実は、宝石はほとんどが「ありふれた地殻成分」で出来ているそうです。
「地殻における元素存在度」は、酸素46.4%、シリコン28.2%、アルミニウム8.2%、鉄5.6%、以下、カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウムなどで出来ています。
 宝石のうちダイヤモンドは、ここには出ていない炭素で出来ていますが、他のほとんどの宝石は地殻の82.8%を占める酸素、シリコン、アルミニウムを主成分にしているそうです。それなのに宝石が美しいのは、「単結晶である」+「微量の不純物で色が異なる」ことによるのだとか!
 そして個人的に最大の驚きを感じたのは、「相対性理論」は、宇宙の誕生をも説明しているのかもしれないという話。
「特殊相対性理論は「動いている物体の質量は大きくなる」「物体の速さが光速に達すると質量が無限大になる」と主張する。このことは(中略)速さの増大に費やされたエネルギーが、その速さが光速に近づくにつれて、どんどん質量を増大させるということを意味している。なんとエネルギーが質量に変化するということを宣言しているのだ!」
「これは「エネルギーから質量が、つまり物質が生まれる」ということを意味し、それは究極的には「宇宙の誕生」をも説明することになるだろう。」
 ……ああー! 確かに、そうですね!
 こんな感じで、「光」、「電気」、「力とエネルギー」「万物の究極構造」、「時間と空間」について、分かりやすく解説してくれるだけでなく、さまざまな不思議現象についても紐解いてくれて、目からウロコをぼろぼろ落としてくれた本でした。とても勉強になるので、ぜひ読んでみてください。特に物理が苦手な方(克服したいと願っている方)に、だんぜんお勧めです☆
   *   *   *
 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

Amazon商品リンク

興味のある方は、ここをクリックしてAmazonで実際の商品をご覧ください。(クリックすると商品ページが新しいウィンドウで開くので、Amazonの商品を検索・購入できます。)