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第1部 本

地質・地理・気象・地球環境

世界の気候と天気のしくみ(今井明子)

『面白いほどスッキリわかる! 世界の気候と天気のしくみ』2022/6/15
今井 明子 (著)


(感想)
「地理」と「地学」を結びつけて、世界の気候と天気のしくみを分かりやすく解説してくれる本で、内容は次の通りです。
第1章 気候を作る太陽・大気・海
第2章 気象の基礎知識
第3章 地形と気象の深い関係
第4章 熱帯の気候
第5章 乾燥帯の気候
第6章 温帯の気候
第7章 冷帯の気候
第8章 寒帯の気候
第9章 日本の気候
第10章 異常気象と地球温暖化
 気象について知っておきたい基礎知識から、意外と知られていない世界の天気、異常気象の謎まで、豊富な図解とともに、とても分かりやすく教えてくれます。
 例えば「第2章 気象の基礎知識」の、「雨や雪が降るしくみ」では、次のような解説がありました。
「空気は、暖かいと多くの水蒸気を含むことができ、冷たくなると少ししか水蒸気を含むことができません。地上付近の暖かい空気が何らかの理由で上昇すると、温度が下がります。すると、空気中に含むことのできなくなった水蒸気が小さな水の粒(雲粒)や氷の粒(氷晶)になります。雲粒や氷晶はとても小さくて軽いうえ、上昇気流があるので空気中に浮かんでいられます。だから、雲は空に浮かんでいるのです。(中略)
 雲粒は周囲の水蒸気を取り込んで大きくなります。そして大きく成長した雲粒は上昇気流よりも重力が強く働いて落下します。その大きい雲粒が落下するときに、ほかの小さい雲粒をくっつけることでさらに大きくなります。これが地上にまで落下したものが雨です。(後略)」
 そして高気圧・低気圧は、「周囲よりも気圧が高ければ高気圧、低ければ低気圧になる」もので、次のような説明がありました。
「高気圧の中では下降気流が、低気圧の中では上昇気流が発生しています。(中略)
 低気圧の中で空気が上昇すると、上空に行くにつれて空気が冷えて、空気中の水蒸気が水や氷になり、雲ができます。低気圧がある場所では曇ったり雨が降ったりしやすいのですが、これは上昇気流があるからです。逆に、高気圧のある場所では下降気流が発生し、気温が上がっていくので雲ができにくくなり、晴れやすくなります。」
 ……なるほど! 実は私、このあたりのことがうろ覚えだったので、「低気圧=雨」のイメージから低気圧は空気が「下降」する場所のように誤解していたのですが、まったく逆で、低気圧は空気が「上昇」する場所なのでした。雨が降るのは、上昇した空気が冷えて水になるからで、それが重力で落ちるというだけなんですね……。
 そして、これを理解しておくことは、例えば砂漠がなぜ赤道直下にないのかを考える際にも重要なのでした。「第5章 乾燥帯の気候」には、次のように書いてあります。
「(乾燥帯体は)赤道直下ではなく、赤道よりもやや高緯度に位置しています。この場所は、赤道付近で発生した上昇気流の下降する場所、すなわち亜熱帯高圧帯にあたります。下降気流では雲はできないため、雨がほとんど降らないのです。」
 そうだったんだ……気象と地理には、深い関係があるんですね!
 同じように「第3章 地形と気象の深い関係」では、「海風と陸風」について、「昼は陸が暖まりやすいので、上昇気流ができて海からの風が吹き、夜は逆に海が冷えにくく、陸からの風が吹く」という解説の後に、「季節風はスケールの大きな海風と陸風」だと書いてありました。要するに「夏はユーラシア大陸が海よりも温まりやすい」ので、海に高気圧、ユーラシア大陸に低気圧ができる「南高北低の気圧配置」になるのです……なるほど! まさに海風と陸風の関係と同じ!
 こんな感じで、すごく分かりやすく解説してくれます。まさしくタイトル通りの『面白いほどスッキリわかる! 世界の気候と天気のしくみ』の本なのでした。
 この他にも「温帯低気圧」「線状降水帯」「スーパーセル」「冬の雷」や「異常気象と地球温暖化」など、参考になる記事が満載です。イラストも豊富で、とても読みやすいのに勉強になる、素晴らしい「気象と天気」の解説書でした。大人の方はもちろん、中学生以上の方も、ぜひ読んでみてください。天気のしくみがよく分かるようになり、理科(地理、地学)が好きになると思います。お勧めです☆
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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