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第1部 本

地質・地理・気象・地球環境

47都道府県 知っておきたい気象・気象災害がわかる事典(三隅良平)

『47都道府県 知っておきたい気象・気象災害がわかる事典』2020/10/14
三隅 良平 (著)


(感想)
 47都道府県それぞれの気象データ(水害の起こりやすい地域、気温・降水量の傾向など)をまとめた事典で、各都道府県の地形や水害の起こりやすい地域、気温・降水量の傾向などが分かります。
 最初に「chapter 1 用語の説明」で気象用語の簡単な説明があり、「chapter 2 日本の気候」で、日本列島の年降水量、年最大積雪深、年平均気温、日照時間などが地図で表示されます。やっぱり太平洋側の方が、日照時間が長いんですね……。

 そして「chapter 3 都道府県別の気象と災害」からは、各県の気象情報(各4ページ)。最初に県の地形図と、主な地点の気温と降水量があり、続いて気温や降水量の地図表示、さらにその県で発生した主な気象災害の歴史、そしてコラムとなっています。
 この地形図を見て分かるのは、各県の大都市は、ほぼ「浸水が起こりやすいところ」にあること! 大都市は大きな河川のある平地(沖積平野や盆地)にあることが多いので、しょうがないことですが……。ところで、この地形図、なぜか長野県だけは県庁所在地の長野市が記載されていないんです。長野市の代わりに松本市が……これって何か理由があるんでしょうか? ちょっと不思議な気がしました……。
 それはともかく、こうして「地形図」が各県の形に切り出されているのを見ると……長崎県って、圧倒的に「島」が多いですね! こんなふうに各県の地形図をじっくり眺めることがなかったので、すごく新鮮でした。
 またコラムも、知らなかったマメ知識が多くて面白かったです。例えば福井県のコラムは、「古代天皇による治水工事」。日本の治水工事は、なんと古墳時代から始まっていたそうです。例えば大阪府の「茨田堤(まんだのつつみ)」は、4世紀に仁徳天皇が築いたと言われているのだとか。福井県では5世紀から6世紀にかけて、継体天皇が九頭竜川、足羽川、日野川などの治水工事を行ったといわれています。もともと福井平野は川の水が海に流れにくく、泥地が広がっていたのですが、継体天皇が中心となって治水工事を行うことにより、水はけがよくなり、農業が大いに発展したそうです。そんな大昔の時代から、日本には大規模な土木工事の技術があったんですね……。
 この他にも、「山口県の周防灘は高潮が起こりやすい」とか、「長崎県の1957年の諫早大水害では丈夫な橋が被害を拡大した?」とか、「熊本県では1953年の阿蘇山大噴火の2か月後、大雨が阿蘇山から火山灰をけずりとり、白川に入った火山灰が泥水となって熊本市を襲った」とか、驚きの情報がいっぱい。ちなみにこの長崎の丈夫な橋とは「眼鏡橋」のことで、災害時には本明川にかかっていたのですが、大洪水のとき眼鏡橋に流木がつまり、川がせき止められて周囲に水があふれだし、被害が拡大してしまったそうです。それで眼鏡橋は解体されることになったのですが、文化的価値が高いということで移設され、現在は諫早公園で見ることができるのだとか。……あの橋には、そんな歴史があったんですね……。
 47都道府県それぞれの気象の特徴をまとめて見ることが出来る事典です。気象や防災に興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
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