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第1部 本

社会

FACTFULNESS(ファクトフルネス)(ロスリング)

『FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』2019/1/11
ハンス・ロスリング (著), オーラ・ロスリング (著), & 3 その他


(感想)
 FACTFULNESS(ファクトフルネス)=「データや事実にもとづき、世界を読み解く習慣」を教えてくれる本です。
 著者のロスリングさんは、ここ数十年間、何千もの人々に、貧困、人口、教育、エネルギーなど世界にまつわる数多くの質問をしてきたそうです。その結果、医学生、大学教授、科学者、企業の役員、ジャーナリスト、政治家、ほとんどみんなが間違えたのだとか。その質問とは、次のようなものです。
質問 世界の1歳児で、なんらかの予防接種を受けている子供はどのくらいいる?
・A 20%
・B 50%
・C 80%
質問 いくらかでも電気が使える人は、世界にどのくらいいる?
・A 20%
・B 50%
・C 80%
 どの質問も、大半の人は正解率が3分の1以下で、ランダムに答えるチンパンジーよりも正解できない(しかも、専門家、学歴が高い人、社会的な地位がある人ほど正解率が低い)という結果になったのだとか(汗……私もかなり間違えました)。ちなみに上の二問の答えは、両方ともCです。
 この本を読んで思ったことは、「世界は意外に普通なんだなー」ということと、「世界はどんどん良くなっているんだなー」ということ。
 私たち日本人は、ほとんど全員が、この本でいうところの「レベル4(最高水準)」以上の生活をしているのではないかと思います(最低でもレベル3以上)。そういう自覚があったので、「世界には食べ物や水に困っている人や、劣悪な教育・医療環境にある人が大勢いるはずで、何か支援をしてあげなければならないのでは……」と思っていました。でも、この本を読んでみたら、世界の人々で最低水準の生活をしている人は、あまり多くないようです。自分の抱いているイメージは、何十年も前のものだったのだなーということを、図表やデータで気づかされました。「世界の姿は一変している」のです。
「低所得国の平均寿命は62歳だ。多くの人は食べ物に困らないし、多くの人はある程度安全な水道水を飲めるし、多くの子供はワクチンを接種するし、多くの女の子は小学校を卒業する。」
 なーんだ。世界はどんどん良くなってきていたんだ。この調子なら、何も無理して頑張る必要はないのかも……などと思って、なんだか気が楽になってしまいました(笑)。悪いニュースを聞くと、思わず「何とかしなければ」と焦る気持ちがあったのですが、実際は、世の中、そんなに悪くないのかも。
 もっとも、この本の趣旨は、「世界は良くなっているから気を楽にせよ」ということではなく、「正しいデータを見て、正しく判断する能力を磨け」というところにあります。そのためには、思い込みや偏った見方を捨てて、次のルールを心掛けるべきなのでしょう。
 ファクトフルネスの大まかなルール:
1)分断本能を抑えるには、 大半の人がどこにいるのかを探そう
2)ネガティブ本能を抑えるには、悪いニュースの方が広まりやすいと覚えておこう
3)直線本能を抑えるには、直線もいつかは曲がることを知ろう
4)恐怖本能を抑えるには、リスクを計算しよう
5)過大視本能を抑えるには、数字を比較しよう
6)パターン化本能を抑えるには、分類を疑おう
7)宿命本能を抑えるには、ゆっくりとした変化でも変化していることを心に留めよう
8)単純化本能を抑えるには、ひとつの知識がすべてに応用できないことを覚えておこう
9)犯人捜し本能を抑えるには、誰かを責めても問題は解決しないと肝に銘じよう
10)焦り本能を抑えるには、小さな一歩を重ねよう
   *
 このうち「焦り本能を抑える」ことは、振り込め詐欺や強引な売り込みに対処するのにも、役立つルールだと思います。振り込め詐欺師たちは、焦り本能(いますぐ手を打たないと大変なことになる)を煽ってくるようですが、実は「今すぐに決めなければならない」なんてことは、めったにないそうです。「深呼吸して」、「他の人に相談する時間」をなんとか稼いでみましょう。ちなみに私自身は、電話での売り込みに応じることは、ほとんどありません。きちんとした企業からの売り込みアピールだと信じられたとしても、電話以外の情報で「裏」を取らない限り、お得な情報にも絶対に乗らないことにしています。いきなり電話で教えられて情報不足なのに「今すぐ決めろ」という話に乗るぐらいなら、むしろ損をした方がいいと思います。
 そんな慎重な私ではありますが、これからは、データに基づかない「思い込み」を捨てて「世の中の動き」に敏感になり、「ファクトフルネス」を実践していきたいと思います。
 最後に、子供たちに私たちが何を教えるべきかについてのロスリングさんの次の意見に共感したので、以下に紹介させていただきます。
「なによりも、謙虚さと好奇心を持つことを子供たちに教えよう。謙虚であるということは、本能を抑えて事実を正しく見ることがどれほど難しいかに気づくことだ。自分の知識が限られていることを認めることだ。堂々と「知りません」と答えることだ。新しい事実を発見したら、喜んで意見を変えられることだ。謙虚になると、心が楽になる。(中略)好奇心があるということは、新しい情報を積極的に探し、受け入れるということだ。自分の考えに合わない事実を大切にし、その裏にある意味を理解しようと努めることだ。答えを間違っても恥とは思わず、間違いをきっかけに興味を持つことだ。(中略)好奇心を持つと心がワクワクする。」
 子供たちだけでなく、私自身も「ファクトフルネス」とともに、「謙虚さと好奇心」を持ち続けていきたいと思います。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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