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第1部 本

生活

ホントは防げる欠陥住宅(長井良至)

『ホントは防げる欠陥住宅』2018/9/21
長井 良至 (著), 日経ホームビルダー (編集)


(感想)
 欠陥住宅は、ツボを押さえた監理で防ぐ……4500棟超の住宅検査の現場から導いた、プロも見落とす欠陥防止の勘所を指南してくれる本です。
 欠陥住宅を生み出す要因の1つは、意図を正しく理解せずに、建築現場の確認作業を現場監督が進めてしまうことにあるのだそうです。この本では、検査業務を担う現場のプロが、確認時に押さえておくべきチェックポイントを、木造住宅の建築工程順に紹介してくれて、建て主とのトラブルに至ってしまった欠陥事例(欠陥事例の写真つき)を基に、欠陥防止の勘所の解説もしてくれます。

 一般向けというよりは、業者(専門家)向けの本のようで、素人には分かりにくい専門用語が続出してきますし、豊富な事例写真を見ても、どこが悪いのかが分かりにくいものもありました(汗)。
 それでも今後、もしも家を建てる時があるとしたら、欠陥住宅をつかまされたくはないもんなーという、将来への曖昧な備え的な動機でなんとなく読み始めたのですが……最初の事例から驚かされ、恐怖まで感じさせられてしまいました(汗)。
「第1章 地盤、基礎(配筋、打設)」の「欠陥01 地盤 建物がないところに杭」では、建物からずれて打たれた杭芯の問題(欠陥)が紹介されていたのですが、この事例では、なんと工事中に建て主が杭の位置がおかしいことに気づき、現場監督に指摘していたにも関わらず、やり直しをせずに工事は続行され、建物が建てられてしまったのだそうです!
 それだけでなく、次の「欠陥02 基礎 工事を止めた5mmの厚さ不足」も、工事中に建て主が指摘したにもかかわらず、修正が不十分だったというもの。
 この本では、これらの欠陥の事例が写真で紹介されるだけでなく、それを防ぐための方法も解説されていました。例えば、この欠陥02を防ぐためのチェックシートは次の通りです。
・基礎工事の現場で確認したいかぶり厚のチェックポイント
1)スラブ筋下のかぶり厚は全ての箇所で60㎜以上確保する
2)基礎の立ち上がりのかぶり厚は、土に接する部分で40㎜以上確保する
3)スラブ管まわりのかぶり厚は30㎜以上確保する
   *
 ……という感じで、専門家の方にとっては、おそらく非常に具体的で分かりやすい解説なのだと思いますが、素人には専門的過ぎて、チェックできる気がしませんでした……(汗)。
 住宅というのは何百万円以上もする高価な買い物なので、欠陥住宅をつかまされたくないのはもちろんですが、この本を読んで、「もしも建て主の立場になったときには、いったいどうしたらいいのか?」とすごく困惑してしまいました。
 なぜなら、住宅に関する情報やチェックポイントは膨大にあり、この本を読んでも素人目にはチェックしきれない感じがするだけでなく、建て主が不備に気づいて現場監督に指摘しても無視されたり軽視されたりするのでは、どうしようもないと思ってしまったからです。
 おそらく……欠陥住宅に悩まされないためには、建物を実際に建てる会社の「他に」、工事を監査してくれる会社も依頼するべきなのでしょう。本来こういう費用は必要ないはずではないかと思わなくもありませんでしたが、残念ながら、それが「現実」なのかもしれません。
 いろいろな欠陥住宅の現状を見ることが出来る本でした。建築業に関わっている方、これから住宅を建てたいと思っている方は、読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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