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第1部 本

自己啓発・精神力

感情をコントロールする技術(岩隈久志)

『感情をコントロールする技術』2013/4/20
岩隈 久志 (著)


(感想)
 メジャーリーガーだった岩隈さんが教えてくれる「不安やプレッシャーから逃げずに、平常心を保つためのメンタルコントロール術」です。
 正直言って野球にはあまり興味がなく(汗)、岩隈さんのことも「たしか楽天からアメリカの大リーグに行って活躍した投手だったような……」という程度の知識しかありませんでしたが、この本を読んで岩隈さんの真摯な生き方を知り、さすが超一流の選手のメンタルコントロールは凄いと感心させられました。
 まず「第1章 心を安定させ、何事にも動じない」のなかの次の言葉に、深い感銘を受けました。少し長いですが、以下に紹介させていただきます。
   *
 それまでも、一部のマスコミにひと言も言っていないこと、やっていないことを取り上げられたことが度々ありました。
 プロ野球選手のなかには、マスコミの流す情報に振りまわされてしまう人もいますが、僕はまったく気にしない質です。
 元々スポーツ新聞などはあまり読むほうではないし、何か間違った情報を書かれていたとしても「また書いてあるな」くらいにしか感じません。
 鈍感といえば鈍感なのかもしれませんが、僕がマスコミの誤報に左右されないのは、それが「自分の制御できないこと」だと割り切っているからです。
 人生にはさまざまな障害や壁といったものがあらわれますが、その障害や壁は「自分でコントロールできること」と「自分ではコントロールできないこと」のふたつにわけられると思います。
「自分ではコントロールできないこと」は、自分がいくら頑張ったり、努力したりしてもどうにかできる問題ではありません。
 そんなことでクヨクヨ悩んでも何も解決しませんし、そんなことにとらわれるのは単なる時間の浪費にすぎないのです。
   *
 ……まったく、その通りだなと思いました。岩隈さんはこの本の中で、「僕は、割と物事を理詰めで考えるタイプです。」と言っていますが、まさにその自己分析の通りに、何か困難な問題にぶちあたったときも、いつも冷静に「ひとつひとつ問題を解決していく」人なんだなーと感じました。
 この本の中には、はっとさせられるような「煌めくような言葉」が溢れています。どれもポジティブな言葉で、他の自己啓発書でもよく見かけるものではありますが、日本を飛び出してアメリカという新天地で苦労を重ねながら、いろいろなことを理詰めで考えて克服してきた岩隈さんが、ご自身の経験を通して培ってきたものばかりなので、心に深く沁みわたりました。読んでいるうちに、なんだか久しぶりに、真っ白い書道用紙に、これらの言葉を筆と墨で大書して、部屋の壁じゅうに、いっぱい貼りたくなりました(笑)。
 例えば、こんな言葉です。
「不安というものは、放っておけばむくむくと大きくなっていきます。しかし、目の前の不安から逃げずにひとつひとつ対処していけば、その不安は少しずつ小さくすることができます。」
「困難な状況にあるときこそ、課題に優先順位をつけてひとつずつクリアしていく、状況が一変することなど、そうそうありません。一見遠回りに思えるかもしれませんが、結局はそれが山積した問題をクリアするためのもっとも効率的な方法、いわば近道なのだと思います。」
「誰も知らない「明日」という未知の領域は、この世に生きている人たちに平等に訪れます。たとえ明日が不安であっても陽は昇り、必ずやってきます。何人たりとも明日からは逃げることはできません。であるならば、誰も知らない明日をクヨクヨ悩むより、「どんな明日になるんだろう」とワクワクする気持ちで、明日に臨んだほうが精神的にはるかに楽なはずです。」
「「ミスとは必ず起こるもの」と考えていれば、気持ちは楽なはずです。ひとつのミスによって熱くなり、まわりが見えなくなってしまう人は、自滅の道を歩んでいるだけなのです。」
「僕が気持ちを引きずらず、すぐに切り替えて次の一歩を踏み出せるのにはひとつ理由があります。それは、いい結果、悪い結果を問わず、その場、その場で分析、反省し、理由を明確にしてから次に進むようにしているからです。」
「完璧を求めすぎるのではなく、足りない部分をちょっとずつ埋めていくことが、人生の階段を一歩一歩上っていくコツなのだと思います。」
 どれもこれも、何度も声に出して読み上げたい気分になりました。
 これらの言葉の中には、私自身も自分の経験を通して、同じように考え、自分の精神をコントロールしてきたものが多かったように思います。本当に「実効性のある」メンタルコントロールの技術だと感じました。ぜひ読んでみてください。お勧めです☆
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 岩隈さんは、他にも『超一流の適応力』などの本を出しています。

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