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DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー 17年8月号 (ブロックチェーンの衝撃)

『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー 17年8月号[雑誌] (ブロックチェーンの衝撃)』


(感想)
 雑誌「DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(17年8月号)」で、「ブロックチェーンの衝撃」特集。ブロックチェーンが経済活動に及ぼす影響を中心に、幅広く解説しています。この雑誌は「意思決定者のためのマネジメント総合誌」で、技術者向けではなくビジネスマン向けに発行されているので、一般の人にも分かりやすいよう解説されていると思います。
 個人的に特に参考になったのが、北野宏明さんによる「ブロックチェーンの活路は人工知能との連携にあり」という記事。ブロックチェーンによって、産業構造はどう変わっていくのかを予測しています。
 現在は、インターネットの活用によって、アップル、グーグル、アマゾンなどの中央集権型企業が台頭しています。「価値のインターネット」といわれるブロックチェーンは、このような産業構造に激変をもたらすのでしょうか?
 ブロックチェーンの導入によって、取引コストは低下し、分散型台帳による記録で集中型データベースが不要になるので、中央集権型経済活動から非中央集権型経済活動への移行を促すだろうと主張している人も多いようですが、北野さんは次の3つの視点から考察しています。
1)中央集権型企業のさらなる巨大化
2)ネットワーク構造の適応進化
3)物理世界での瑕疵責任
 ……それによると、非中央集権型経済活動への移行も考えられますが、やはり中央集権型企業が覇権を握る可能性の方が高そうです。この考察には、すごく納得させられました。たとえば仮想通貨が普及した未来の世界で、私自身が何かを買おうと思った場合でも、品質の安定性や問題発生時の対応が見込める大企業の製品やサイトから検討を始めるでしょうし、支払う金額が大きいほど、信用のある銀行系の仮想通貨を利用しようとするでしょう。そう考えるとやはり、「巨大プライベートブロックチェーンが優位となるだろう」という予測が、最も妥当なものだと思います。
 また「自律分散型組織を展開させるには人工知能(AI)が必須である」という項目で、「AIシステムの性能と品質を決定する「学習済みネットワーク」を作るときには、各々の学習済みニューラルネットの正当性の確保が重要になる」ことから、AIの開発にブロックチェーンを利用する(学習に利用したデータ群などをブロックチェーンを利用して保全できる可能性がある)という指摘も、とても参考になりました。なるほど、確かにそんな使い方も出来ますね。
 この他にも、「仮想通貨」の解説や、「ブロックチェーンと企業戦略」など参考になる記事がたくさん。なかでも「ブロックチェーンと企業戦略」の「ブロックチェーンへの投資ガイド」はすごく参考になると感じました。
「ブロックチェーン」特集以外でも、「企業型リーダーを見極める方法」、「組織改編を成功させる5つのステップ」など、起業経営上、役に立つ記事がたくさんあります。ビジネスマンの方は、ぜひ読んでみてください。
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 ハーバード・ビジネス・レビュー編集部は、他にも『マネジャーの教科書――ハーバード・ビジネス・レビュー マネジャー論文ベスト11』、『ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー 2017年 11 月号 [雑誌] (「出る杭」を伸ばす組織)』、『ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー 2017年 10 月号 [雑誌] (グローバル戦略の再構築)』、『ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー 2017年 09 月号 [雑誌] (燃え尽きない働き方)』、『ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー 2017年 07 月号 [雑誌] (生産性 競争力の唯一の源泉)』などの本を出しています。
 なお社会や脳科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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