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第1部 本

ビジネス・仕事力向上

「分かりやすい表現」の技術(藤沢晃治)

『「分かりやすい表現」の技術―意図を正しく伝えるための16のルール (ブルーバックス) 』1999/3/19
藤沢 晃治 (著)


(感想)
 右か左か迷わせる交通標識、初心者にはチンプンカンプンのマニュアル……世の中にあふれる「分かりにくい表現」の犯人をつきとめ、すっと分かってもらえる「情報発信のルール」を教えてくれる本です。1999年に発行されたすごく古い本ですが、2017年の今でも役に立ちます(汗……今でも役に立つのは、まずい気がしますが……)。
 本は次の4章から構成されています。
第1章 「分かりにくい表現」がいっぱい!
第2章 「分かりやすい」とはどういうことか
第3章 「分かりにくい表現」の主犯たち
第4章 「分かりやすい表現」のルールブック チェックポイント付き
   *
 第1章では、身近な「分かりにくい表現」の実例として、多数の写真が掲載されています。1999年頃のものなので、さすがに2017年の現在では、指摘された部分が改善されているものも多いのですが、類似したものは、今でもあちこちで見かけるような……。
 第2章では、そもそも「分かりやすい」とはどういうことか、についての簡単な説明があります。
 第3章では、分かりにくさの原因別に、「犯人1 親切心の欠如」、「犯人2 「受け手」のプロフィールの未定義」、「犯人3 受け手の熱意の読み違い」などの典型例があげられます。思わず笑ってしまうような「トホホ例」や、自分もやってしまうかも……の「冷や汗ものの例」がいっぱい。こういうことをやってはいけない、と自戒させられました。
 そして最後の第4章。「意図を正しく伝えるための16のルール」を説明してもらえます。そのルールとは、次の通り。
ルール1 おもてなしの心を持て。
ルール2 「受け手」のプロフィールを設定せよ。
ルール3 「受け手」の熱意を見極めよ。
ルール4 大前提の説明を忘れるな。
ルール5 まず全体地図を与え、その後、適宜、現在地を確認せよ。
ルール6 複数解釈を許すな。
ルール7 情報のサイズ制限を守れ。
ルール8 欲張るな。場合によっては詳細を捨てよ。
ルール9 具体的な情報を示せ。
ルール10 情報に優先順位をつけよ。
ルール11 情報を共通項でくくれ。
ルール12 項目の相互関係を明示せよ。
ルール13 視覚特性(見やすさ)を重視せよ。
ルール14 自然発想に逆らうな。
ルール15 情報の受信順序を明示せよ。
ルール16 翻訳はことばではなく意味を訳せ。
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 これらのルールは、第3章で説明された「分かりにくさの原因」分析を経て設定されているので、3章と4章をよく読むことで、「分かりやすい表現」をするための具体的な方策が身につくと思います。
 個人的にとても参考になったのは、「ルール8 欲張るな。場合によっては詳細を捨てよ」。いつも「分かりやすさ」を心がけてはいるのですが、1ページに盛り込む情報が多くなりがちかもしれません……(汗)。このルール8を、いつも心にとめておきたいと思いました。
 また、「ルール3 「受け手」の熱意を見極めよ」については、「「受け手」には熱意はないと考えるべき」だと思うので、ルール1か2に集約できそうな気がします(少なくとも見極める必要はないと思います)。
 どのルールも「分かりやすさ」のために必要なものなので、「標識」「お知らせ」「マニュアル」などを作る立場にいる方は、この項目を壁に貼ってチェックして欲しいと思います。(なお本の中には、より具体的で詳細な「チェックポイント」があります)。
 とても参考になる本でした。そして、なんといっても、この本自体が「分かりやすさ」に満ちています。あまりにも読みやすいので、あっという間に一気に読み通すことが出来ました。そんな短時間の間に、ダメな具体例も、どう改善すべきかのヒントも、しっかり頭に入ってくるのが凄いです。
 パソコンに同梱されている多数のマニュアルに、どの順番でマニュアルを読むべきかが記載された「最初にお読みください」と書かれた1枚紙が入るようになったのは、この本の影響なのかも……とも思わされました。ダメな例には、ちゃんと改善例がセットで示されているので、自分の仕事にも役立てやすいと思います。古い本ですが、とても役に立つ内容なので、ぜひ読んでみてください☆
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 この本にはマンガ版の『マンガで読む 「分かりやすい表現」の技術 (ブルーバックス)』もあります。また、藤沢さんは、他にも『「分かりやすい文章」の技術―読み手を説得する18のテクニック』、『「分かりやすい説明」の技術 最強のプレゼンテーション15のルール』、『「分かりやすい教え方」の技術―「教え上手」になるための13のポイント』、『「説得力」を強くする 必ず相手を納得させる14の作戦』などの本を出しています。
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 別の作家の本ですが、『ビジュアル 資料作成ハンドブック (日経文庫)』など、分かりやすい説明をするために参考になる本は多数あります。

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