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第1部 本

 IT

IoTエンジニア養成読本(片山暁雄、他)

『IoTエンジニア養成読本』2017/4/12
片山 暁雄 (著), 松下 享平 (著), 大槻 健 (著), 大瀧 隆太 (著), 鈴木 貴典 (著), & 2 その他


(感想)
 IoTエンジニアを養成するための入門書です。
 IoTの構成要素の「センサ&デバイス」、「ネットワーク」、「クラウド」、「アプリケーション」、「セキュリティ」を個別に紐解くことで、最新のIoT システムの全体像を理解できる構成になっています。
 全体は、「Part 1:基礎編」、「Part 2:技術要素編~IoTシステムの全体像をつかむ」、「Part 3:実践編~IoTデバイス実践講座」、「Part 4:ビジネス編」の4部構成になっていて、このうち「Part 3:実践編~IoTデバイス実践講座」だけは、回路やプログラムが出て来るので、技術者の方でないと理解できないかもしれませんが、それ以外の部分は、一般の方にもそれなりに分かりやすく説明されていると思います。
 技術者向けの本なので技術的な説明が多いことは確かですが、知っておいて損はない情報だと思います。例えば「Part 2:技術要素編~IoTシステムの全体像をつかむ Chapter 3:センサ&デバイス」の中で説明されていた「IoTプロジェクトを始める前に確認しておきたいこと」などは、とても参考になると思うので、以下に概要を紹介させていただきます。
「IoTプロジェクトを始める前に確認しておきたいこと」
1)関係者の同意
2)IoTそのぞれの技術要素の理解と、隣接する技術要素の関係性考慮
3)コスト(IoTのデバイスは遠隔地に複数設置されることが普通なため、改修に要する期間やコストが多くなる傾向にあるので、デバイスに何が必要で何が不要かを早めに確認しておくことが大切なそうです。)
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 また「Part 2:技術要素編~IoTシステムの全体像をつかむ Chapter 7:セキュリティ」もとても参考になりました。2016年には、ボットネットによる大規模なDDoS攻撃により、小さなジュエリーショップのWebサイトがダウンしたことがあったのですが、その原因はなんと「監視カメラ」からの攻撃! インターネット接続の25,000台の複数のメーカーの監視カメラが構成するボットネットからの攻撃だったのです。この事例は、IoT機器に脆弱性があれば、それを乗っ取り、ボットネットを構成し、大規模な攻撃を実施することが可能であることを証明したのだとか……利用するIoTデバイスのセキュリティをよく考えておかないと、気がつかないうちに「加害者」側にされることがあるようです。IoTシステムを設計する時には、セキュリティを考えることも重要だなと痛感させられました。
 さらに「Part 3:実践編~IoTデバイス実践講座」では、マイコンのRaspberry Piとブレッドボード(基盤)などを利用した簡単なIoTデバイスを利用したシステムの実例を学ぶことが出来ます。小さな基盤にUSBモデムを接続して通信を行っている写真も掲載されているので、IoTシステムをどう構成するのかが、実感として理解できると思います。
 IoTシステムの全体像を把握するための、エンジニアのためのIoTの入門書です。ぜひ読んでみてください。
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 IoTエンジニア養成読本シリーズの他の本、『IoTエンジニア養成読本 設計編』に関する記事もごらんください。
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 片山さんは、他にも『Amazon Web Services 基礎からのネットワーク&サーバー構築 改訂版』などの本を出しています。
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 別の作家の本ですが、『IoT技術テキスト 基礎編 [MCPC IoTシステム技術検定基礎対応]公式ガイド』、『IoTシステム開発スタートアップ プロトタイプで全レイヤをつなぐ』、『工場管理2017年4月臨増「よくわかる生産現場のIoT─基礎から実践事例まで徹底解説─」[雑誌]』、『IoT技術テキスト -MCPC IoTシステム技術検定 対応-』、『絵で見てわかるIoT/センサの仕組みと活用』など、技術者にとって参考になるIoTの本は多数あります。
 なお社会や脳科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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