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第1部 本

自己啓発・その他

今日もていねいに。(松浦弥太郎)

『今日もていねいに。』2012/2/3
松浦 弥太郎 (著)


(感想)
 毎日を「ていねいに」生きることの価値を教えてくれるエッセイ集です。
 とびきりおいしいお茶を淹れること。苦手な人に、自分から歩み寄ってみること。新しいものをひとつ手に入れたら、ひとつ手放すこと……ちょっとした工夫で、毎日が特別なものに変わっていくのだそうです。
 もっともこの「ちょっとした工夫」の中には、なかなか出来ないこともありましたが……。例えば、「僕はギターの練習を始めたとき、それまでけっこう好きだった自転車を処分しました。」なんてことが、さらっと書いてあります。こんなに「潔い」ことは、多趣味な私には、とても出来そうにありません。いつも新しいことを「追加」していて、それが楽しいのですから。
 その他にも、「嘘」と気づいていながら、「そんなとき僕は、あっさりだまされます。」ということも……「嘘」と気づいた時、その相手に面と向かって糾弾することはあまりしませんが、少なくとも「この人は嘘をつく人だ」と記憶に留めて用心するのは、人間としてむしろ当然のことではないでしょうか。
 ……という感じで、これらのエッセイに必ずしも全面的に賛同・共感したわけではありませんでしたが、松浦さんのこの「ていねいな」生き方も、素敵な生き方の一つだなと思います。
 なかでも参考になったのが、「僕は、仕事で関わる人すべてと、家族のような関係になるのが理想だと思っています。だから取引先に要求するときには、こんな自問をしています。「この人が自分の妹でも、僕はこんな無理な取引条件を押し付けるだろうか?」答えがノーなら、その条件は間違っているということです。」という考え方。なるほど、取引先の相手をこう考えると、無茶な要求を通そうとは自然と思わなくなるでしょうし、結果的に周囲との関係もどんどん円滑になっていくのでしょう。
 その他にも「人生で何をしたかは、どんな仕事をして、どんなものをつくったかでは決まりません。大切なのは、どれだけ人に与えたかということ。」、「仕事でも人生全般でも、やりがいがあって成長できる、自分にぴったりの役割が巡ってくるなんてことは、起きる道理がありません。」など、考えさせられる文章にたくさん出会うことができました。
 そして素晴らしいと感じたのが、最後の「無になる練習」。瞑想法の本を読んで、松浦さんなりの工夫を付け加えたというイメージレッスンが紹介されているのですが、「まず、高い山のてっぺんの、ちょっとしたくぼみに座っている自分をイメージします。」から始まって、最後には雪の一片になって風に消えていくイメージ方法が、とても心地良くて、この文章を読むだけで、なんだか「無」になれそうな気がしてくるほどでした(笑)。
 心の清涼剤になるようなエッセイ集でした。一話あたり数ページしかないので、短時間で読めると思います。毎日を忙しく生きている方は、少しずつでもいいので読んでみてください。
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 松浦さんの他の本、『考え方のコツ』、『あたらしいあたりまえ。 暮らしのなかの工夫と発見ノート』に関する記事もごらんください。
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 松浦さんは、他にも『正直』、『泣きたくなったあなたへ』、『「自分らしさ」はいらない くらしと仕事、成功のレッスン』、『もし僕がいま25歳なら、こんな50のやりたいことがある。』などの本を出しています。

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