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第1部 本

ビジネス・管理&人事

無理・無意味から職場を救うマネジメントの基礎理論(海老原嗣生)

『無理・無意味から職場を救うマネジメントの基礎理論 18人の巨匠に学ぶ組織がイキイキする上下関係のつくり方』2015/3/31
海老原嗣生 (著), 守島基博(解説) (著)


(感想)
 人と組織のマネジメントに関する基礎課程を実践的に学べる本です。
 基礎的・学問的知識が紹介されているだけでなく、現実的な場面を想定した演習問題もあるので、知識を現実で活かすためにはどうしたらいいかを、より考えやすいと思います。
「第1章 なぜ企業は社員のやる気を大切にするのか」と「第2章 難しいのは機会の与え方と支援」では、主に部下と上司の一対一の関係を扱い、「第3章 組織をイキイキとさせる古典的理論」では、中間以上の管理職のマネジメントを、そして「第4章 指令や判断の根源がコア・コンピタンス」では、すべての指令や判断の根拠となる「得手不得手」としての「会社の強み=コア・コンピタンス」を扱っています。さらに「第5章 見栄えのいいメソッドよりも錆びない基礎理論を」では、海外の働き方と比較して、日本の働き方(日本型組織)の良さについて解説しています。
 欲求段階説のマズロー、XY理論のマクレガー、7つの習慣のコヴィーなど、マネジメント理論の巨匠18人の理論が取り上げられていますが、理論については簡単に概要説明されているだけで、どちらかと言うと、これらの理論をふまえた上で「実践するための方法」が重視されているので、マネジメントの教本として、現場で活用しやすいのではないかと思います。
 個人的に特に参考になったのは、「第2章 難しいのは機会の与え方と支援」で、その5つのポイントは以下の通りです。
1)Whatだけでなく、Wayも伝える
2)できるかできないかギリギリの線を提示し、逃げ場をなくす
3)部下の状態を日々よく見て、ギリギリの線を保ち続ける
4)周囲とのつながり将来の展望のなかで、いまの仕事の意義を確認させる
5)その仕事の意義・本質を伝え、どこまでなら自由にやっていいか明確にする
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 人生の中で「仕事」が占めるウェイトは大きいですし、部下に仕事が「楽しい」と感じてもらえるようにすることは、会社にとってだけでなく、部下自身にとっても大いにプラスになることだと思います。未熟な部下には「仕事のやり方」を具体的に教え、やる気のある部下には、自由裁量の余地があってギリギリ達成できる課題を与える(=支援する)ためには、常に部下の状況をよく見ている必要があるなと感じました。
 そして大事なのは、「誤解する余地のないほど簡単明瞭な「骨太な方針」を指示する」こと。海老原さんは、「明確な方針を打ち出せない上司は存在意義がありません。上司は部下に「ぴったりな目標」を与え、「逃げ場をなくし」「どうやったらいいか(Way)」を示し(=支援)ていくのが仕事です。」と言っています。
 イラストが多用されていて、読みやすいのに、すごく参考になるマネジメントの教科書でした。これから部下を持つことになる方にとって勉強になるだけでなく、すでに部下のいる方にとっても自分のマネジメント方法を再整理(再確認)するために役立つと思います。ぜひ一読してみてください☆
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 海老原さんの他の本『クランボルツに学ぶ夢のあきらめ方』に関する記事もごらんください。
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 海老原さんは、他にも『即効マネジメント: 部下をコントロールする黄金原則』、『なぜ7割のエントリーシートは、読まずに捨てられるのか?』、『面接の10分前、1日前、1週間前にやるべきこと』、『いっしょうけんめい「働かない」社会をつくる』などの本を出しています。

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