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第1部 本

ビジネス・管理&人事

ワーク・ルールズ!―君の生き方とリーダーシップを変える(ボック)

『ワーク・ルールズ!―君の生き方とリーダーシップを変える』2015/7/31
ラズロ・ボック (著), 鬼澤 忍 (翻訳), 矢羽野 薫 (翻訳)


(感想)
 Googleの人事トップのボックさんが、Googleでの採用、育成、評価のすべてを初めて語ってくれた本です。
 Googleはいったいどんな仕組みで動いているのか? 21世紀の最強企業をかたちづくる、採用、育成、評価の仕組みをすべて惜しげもなく公開してくれています。この本で紹介される哲学と仕組みは、あらゆる組織に応用できる普遍性があると思います。
『ワーク・ルールズ!』というタイトルなので、実を言うと、Googleらしい明快な人事メソッドを期待していたのですが……番号付で「1.仕事に意味を持たせる、2.…」というような分かりやすいルールズがなかなか出てこなくて、「目次を読むとだいたい概要がつかめる」ほどの明快さへの期待は外れてしまいました(汗)。……うーんこれではGoogleらしくないのでは(?)と、じりじりしながら読み進めていった結果……もしかすると、これこそが「まさしくGoogleらしさ」なのかもしれない!と逆に思うほどになりました(笑)。
 なぜなら、この本でなかなか明快な「ワーク・ルールズ」が列挙されなかったのは、それが「変化しつづける」「発展し続ける」人事システムだったからなのです!
 ああ、そうか! これは、本気で「採用」や「人事管理」を自分の頭で考えて創り上げてきた人の奮闘の記録と、それを通して得られた本当に血の通ったワーク・ルールズだったんだ☆ だからこそ、大学等で教えられる教科書の古典的(?)『人事管理』ではなく、激変しつづける21世紀型企業に、リアルに役に立つ『ワーク・ルールズ!』なんだ!
 確かに、どんどん変わり続けるネット業界に対応できる明確な「ワーク・ルールズ」が最初からきちんとあるはずもなく、「より良い人事システム」への努力をし続けなければならないのです。そして、これこそが、「あらゆる組織に応用できる普遍性」なのだと思います(笑)。ちなみに、Googleのピープルズ・オペレーションズの4つの基本原則は、1)ニルバーナを追いかける、2)データを使って未来を予測し、形づくる、3)飽くなき向上、4)型にとらわれないチームづくり、なのだそうです。
 ……そ、そんなあ……要するに「より良いものを目指して頑張り続ける」のがルールなら、読む価値ないじゃないか?と思うかもしれませんが、安心してください、価値も大ありです。奮闘を通して、失敗したこと、うまくいったことがすごく具体的に書いてあるのです。特に後半になると、最近のGoogleで利用しているシステムを具体的に教えてくれるので、失敗、成功の両方がものすごく参考になります。
 さて、ボックさんが特に強調しているのは、「採用」の段階を重視せよと言うことで、その秘訣は「自分より優秀な人だけを採用する」ことだとか(!)。これは、実はなかなか出来ないことだと思います(汗)。なんとGoogleでは、適任という求職者が見つかるまでは、ポストを空席にしておくのだそうで……空席の間、その仕事はどうなるのだろうか?という疑問が当然わきますし、求人への応募者が殺到するGoogleだからこそ出来ることのような気もしますが……Googleは社員をとても大切にしているようなので、(みんなが働きたい会社になる→良い人がどんどん集まってくる→さらに良い会社になる)という好循環を保てるのでしょう。
 また人事システムをより良いものにする、Googleらしい方法も教えてくれます。それは「実験とデータを活用して制度を進化させる」こと。これも「あらゆる組織に応用できる普遍性」の一つでしょう。
 その他、マネージャーに関する考え方もすごく参考になりました。(Googleでは、マネージャーを成長させるために、チームが上司を評価するそうです。この「UFSマネジャーリポート」の質問事項のサンプルもあります)
 最後に、本書でのGoogleの「ワーク・ルールズ!」を以下に紹介します(これらのルールも、おそらく今後もどんどん改善されていくのではないかとは思いますが……)。項目に込められた意味に興味がわいた方は、ぜひ読んでみてください☆ すごく参考になると思います。
 1.仕事に意味を持たせる
 2.人を信用する
 3.自分より優秀な人だけを採用する
 4.発展的な対話とパフォーマンスのマネジメントを混同しない
 5.「2本のテール」に注目する
 6.カネを使うべきときは惜しみなく使う
 7.報酬は不公平に払う
 8.ナッジ……きっかけを作る。
 9.高まる期待をマネジメントする
 10.楽しもう!(そして1に戻って繰り返し)
   *    *    *
 別の作家の本ですが、『DREAM WORKPLACE(ドリーム・ワークプレイス)――だれもが「最高の自分」になれる組織をつくる』、『超チーム力 会社が変わる シリコンバレー式組織の科学』、『社員の力で最高のチームをつくる――〈新版〉1分間エンパワーメント』、『フィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術』など、人事や組織運営を考える上で参考になる本は多数あります。

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