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第1部 本

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「自動運転」革命 ロボットカーは実現できるか?(小木津武樹)

『「自動運転」革命 ロボットカーは実現できるか? 』2017/3/14
小木津 武樹 (著)


(感想)
 あらゆる分野に影響を及ぼす「完全自律型の自動運転車」の可能性や課題について、分かりやすく紹介してくれる本です。
 自動運転の歴史から、現状と課題、さらには未来予測と、幅広い分野について具体的に解説してくれています。
「自動運転」へ向けて、自動車にはさまざまな運転支援システムが組み込まれつつありますが、小木津さんは、完全自動運転一歩手前の「運転支援型」のシステムには問題があると考えているようです。「運転支援型では、人間の業務が監視に特化するので極めて単調で面白くなく、監視能力も低下していく」ため、「運転支援からの段階的な高度化は難しい」からです。
 これ、私もまったく同意見です。「原則としては機械(車)が自動運転するが、何か異常事態が発生した時には、人間がハンドルを握って対処する」というのは、人間の性質上、無理があると思います。車が自動運転してくれている以上、その時間を利用してスマホでもチェックしたいと、どうしても人間は考えてしまうでしょうし、運転からすっかり注意がそれているのに、急な異常事態発生になど即応できるわけがありません。また、日常的に自動運転に頼っていると、「運転操作」自体をどんどん忘れていってしまうことも避けられないので、ますます「異常事態に即応」できなくなっていくでしょう。だから「運転支援からの段階的高度化の間の車の販売」は見送ってもらって、一般に販売を開始するのは、「完全自動運転車」からにして欲しいと思います。
 でも「完全自動運転車」は、いろんな意味で技術的な困難さがあるようです。
「たとえば、信号の認識一つをとっても、五叉路交差点で複数信号機が見える中で、自分の守るべき信号はどれか?」など、「場所が限定されない自動運転をつくる場合、認識の部分が一番のネックとなる」ようです。……確かに五叉路交差点だと、人間でもとっさに迷う時がありますよね(汗)。こういう「自動運転には判断が難しい」場所には、道路や標識側に何か信号を発するものを埋め込んで信号と連動させると良いのかもしれません。そのためには「自動運転用の標識」の標準化を進める必要があるのかもしれないなと感じました。
 また自動運転で事故が起こった場合、誰が責任を取るのかも大きな問題だと思います。小木津さんの「社会的効用と引き換えに私たちはある程度のリスクも受け入れなければならないと考えている。たとえば、医師が行う手術や投薬などの医療行為を念頭に置くとわかりやすい。医療行為は患者の命を守るために不可欠なものであるから、医師に過失がなければ不幸にして患者が死亡しても社会はそれを許容する基盤が整っている。これと同じ考え方を自動運転などの知能機械に適用してはどうだろうか。」という意見は、すごく参考になりました。
 そしてすごく面白かったのが、「第7章 自動運転の未来」。未来の完全自動運転車は、「自動車の形をしている必要がない」ので、住宅型をしていてもいいんです。トヨタが住宅業界に参入したのは、すごく先見の明があったのでしょう。
 どこにでも動いていける別荘かあ……すごく素敵ですね☆
 あれれ? すると……手動で運転しなければいけない現在と同じ形の車は、救急車や消防車などの緊急車両や、パトカーと犯罪者の車だけになるのでしょうか? そうなると犯罪者の車……すごく目立ちますね(笑)。もしかしたら銀行強盗などにも、人工知能搭載ロボット+自動運転車なんかが使われることになるかも? しかも、なんらかの疑いがあって緊急停止させられた自動運転車を開けてみたら、中ではパジャマ姿の一般の人がぐっすり眠っていた、なんてことも発生するのかもしれません。(それはちょっとイヤかも……。)
 自動運転が一般化すると、私たちのライフスタイルは大きく変わるんだなあということをリアルに感じさせてくれた本でした。自動運転の未来をより良い社会にするためには、どのような法律や対応が必要なのかを考えるためにも、ぜひ読んでみて下さい。
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 別の作家の本ですが、『ドライバーレス革命 自動運転車の普及で世界はどう変わるか?』、『自動運転でGO! ~クルマの新時代がやってくる~』、『2020年、人工知能は車を運転するのか ~自動運転の現在・過去・未来~』、『20年後、私たちはどんな自動車に乗っているのか? 電気自動車・ハイブリッド車・燃料電池車、そして自動運転車の未来』など、自動運転関連の本は多数あります。
 なお社会や脳科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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