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第1部 本

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ドローンが拓く未来の空: 飛行のしくみを知り安全に利用する(鈴木真二)

『ドローンが拓く未来の空: 飛行のしくみを知り安全に利用する』2017/3/8
鈴木 真二 (著)


(感想)
 ドローンの歴史や飛行原理、利用のルール、事故防止の考え方などを解説した上で、ドローンが飛び交う未来の空を展望している本です。
 インターネット通販大手のアマゾンが、2013年12月1日に発表したプロモーションビデオで、商品が倉庫からドローンで運ばれて、注文した親子の家の玄関先に届けられるというシーンに、驚きとワクワクを感じた方は多かったのではないでしょうか。これはまだ実験(一部実用化)段階ではありますが、TVでもドローンで空撮した絶景映像などを頻繁に目にするようになり、ドローンは急速に身近なものになりつつあります。
 2016年4月の熊本地震では、災害状況の調査にドローンが使われるなどの活躍が伝えられる一方で、2015年4月22日に、首相官邸の屋上に不審なドローンが発見されたときには、(もし、これがテロだったら……)と、ゾッともさせられました。
 この本は、ドローンの歴史から飛行原理、利用方法や事故防止への考え方、さらに未来への展望まで、分かりやすい語り口で総合的に幅広く解説してくれるので、一般の人でも読みやすいと思います。
 ドローンの歴史は意外に古くて、なんと第二次世界大戦中、飛行機を打ち落とす射撃の目標としてターゲット・ドローンが米国で開発され、9000機以上が製造されたのだそうです。また、1990年代には偵察用の無人航空機として戦場に投入されたのだとか……。ドローンは、玩具のラジコンヘリから始まったのかと勘違いしていたのですが、実は、最初から軍事目的に開発されたものだったんですね(汗)。
 そして民間での業務目的にドローンがいち早く普及したのは、なんと日本でのことだったそうです。それは農薬散布用のラジコンヘリ。狭い農地や騒音被害に対応するため、1980年代にラジコンヘリによる農薬散布が検討され、1990年代には実用化されたのだとか。
 今後いっそう拡大が期待されるドローンサービスの例としては、次のようなものがあるそうです。
1)空撮(報道、番組、宣伝、測量(3Dモデル作成)、点検、警備、探索)
2)輸送(物流、緊急輸送(医療機器)、ケーブル敷設)
3)投下(農薬散布、種まき、消火)
4)中継(通信の中継、遠隔操作の中継)
5)サンプリング(放射線量計測、空中計測)
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 ドローンは色々な場面で、すごく使える機械だと思います。その一方で、盗撮やテロに使われるのではないかとの懸念も強く感じてしまいます。農薬ではなく毒薬が市街地で散布されてしまったら……飛んでいるドローンをどう排除できるのでしょうか? 2020年の東京オリンピックでは、ドローンによるテロ対策についても、真剣に考えなければならないのでしょう。
 ドローンは急速に身近なものになりつつあり、おそらく今後、私たちの生活にますます欠かせない存在になっていくのでしょう。ドローンに興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
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 鈴木さんの他の本、『きちんと知りたい! ドローンメカニズムの基礎知識』に関する記事もごらんください。
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 鈴木さんは、他にも『トコトンやさしいドローンの本』、『ダイナミック図解 飛行機のしくみパーフェクト事典』、『落ちない飛行機への挑戦: 航空機事故ゼロの未来へ』などの本を出しています。
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 別の作家の本ですが、『ドローンの教科書 標準テキスト - 無人航空従事者試験(ドローン検定)3級4級対応 改正航空法・完全対応版』、『(飛ばし方ビデオDVD付) 最新ドローン空撮入門』、『ドローン空撮 GUIDEBOOK』、『大人のためのドローン入門』、『ドローン片手に世界一周 空飛ぶ絶景400日』など、ドローン関連の本は多数あります。
 なお社会や脳科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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