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第1部 本

教育(学習)読書

武器としての決断思考(瀧本哲史)

『武器としての決断思考』2011/9/22
瀧本 哲史 (著)


(感想)
 京大の人気授業「瀧本哲史の意思決定論」を1冊に凝縮した本で、意思決定や決断力を身につける方法を教えてくれます。
「変化が激しい今の時代、これまでの価値観や方法、人生のレールというものは、意味をなさなくなってきています。こんな時代に生きる私たちは、過去のやり方が通用せず、未来予想もうまくできないなかで、自分の人生や家族の将来を見据えながら、ひとつひとつ現時点で最善と思える「意志決定」を行っていかなければなりません。」
 ……確かにその通りだと思います。2017年の現在、手元のスマホを見ても、「変化の激しさ」を痛感します。ついこの前までは「携帯電話」の時代だったのに、もう「スマホ」時代になり、そしてそれすらすぐに時代遅れになりそう……(汗)。変化のスピードが速すぎて誰にも将来が予測できない時代。過去の常識が通用しないので、大人ですら「正しい方法や意見」に迷うのが現状です。つまり誰もが、「その時点で最善」と思えることを自ら判断していかなければならない時代なのです。
 この本は、「その時点で最善」と思える決断をするための方法を教えてくれます。
 そのための効果的な方法とは、「ディベート」思考だと瀧本さんは考えているようです。「ディベート」というのは、ご存じの通り、「賛成」「反対」分かれて討論をする方法ですが、何かを考える時には、自分一人でも、このような「ディベート」思考で考えると、問題の全体像を把握でき、客観的に判断することが出来るのだとか。
 ということで、この本では、この「ディベート」思考のやり方について事例を通して教えてくれます。「ディベート」には次のルールがあるそうです。
1)特定の論題について議論する
2)賛成側と反対側に分かれる
3)話す順番、発言時間が決まっている
4)第三者を説得する
 そして「ディベート」思考をする時には、「メリット」と「デメリット」を比較してみると良いようで、メリットには3つの条件、1)内因性(なんらかの問題があること)、2)重要性(問題が深刻なこと)、3)解決性(問題がその行動で解決すること)、デメリットには、1)発生過程(論題の行動をとると新たに問題が発生する)、2)深刻性(問題が深刻)、3)固有性(現状では問題が生じていないこと)の3条件がそれぞれあるそうです。
 この方法でのディベート思考の事例を読んでいるうちに、「メリットについて考えているのに、なんかデメリットを考えているみたい」と混乱してきましたが(汗)、どうやらみんなそう思うようで、瀧本さんご自身もそう書いています。でも、「メリットとデメリットは表裏の関係なので、当然このようなことが起こる」そうで、慣れるとカンタンになってくるのだとか……。
 ちょっとややこしい感じもしましたが(汗)、何かを考える時に、「賛成」だけでなく、その「反対」意見も考えることは、とても大切なことだと思います。こうすることで、まったく違う方向から物事を考えることが出来るので、物事の本質への理解が深まります。もちろん、これは資料選びの段階から必要になる態度で、瀧本さんは、「裏をとるな、逆をとれ!」と言っています。つまり「裏をとる(同じ意見の人から話を聞く)」だけでなく、「逆をとる(反対の意見を聞く)」ことが大事なのです。
「ディベート思考とは、客観を経て、主観で決断する方法」で、「正解を求めない」態度が重要なようです。「なんらかの絶対解や真実を求めようとすることは、「誰かの決めた解」や、すでに役割を終えた「古い意思決定」に頼ってしまうという、もっとも危険な考え方、そして生き方につながります。」だそうです。
「世の中に「正解」なんてものはない。正解がわからないから動かないのではなく、「いまの最善解」を導き出して、とにかく行動することが重要だ。根拠を比較して得た結論を、とりあえずの「答え」にしよう。前提が間違っていたら修正して、また行動すればいい。それがさらなる最善解に近づくための「決断思考」だ。」
……この混沌とした時代に「決断」を下すことは怖いことですが、「教えてくれる人は誰もいない」のです。自分の頭でよく考えて、その時点で最善と思うことを決めましょう。そしてダメだったら、その経験を活かして、どんどん修正していけばいいのだと思います。
 とても参考になる本でした。「決断思考」を常に求められているビジネスマンの方はもちろん、これから自分の人生に足を踏み出していく若い方に特にお勧めします。
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 瀧本さんの本、『ミライの授業』、『武器としての交渉思考』に関する記事もごらんください。
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 別の作家の本ですが、『決断科学のすすめ?持続可能な未来に向けて、どうすれば社会を変えられるか?』、『結局、「決められる人」がすべてを動かせる』、『インビジブル・インフルエンス 決断させる力』、『世界最高峰の頭脳集団NASAに学ぶ決断技法―不可能の壁を破る思考の力』、『Googleの決断思考: 世界最強チームは危機にどう対応しているのか』、『もう迷わなくなる最良の選択: 人生を後悔しない決断思考の磨き方』、『迷いが消える決断思考 ――最強意思決定ツール「ビジュアル・フューチャー」』など、決断力や方法を向上させるために参考になる本は多数あります。

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