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第1部 本

ビジネス・管理&人事

プロフェッショナルマネジャーの仕事はたった1つ(高木晴夫)

『プロフェッショナルマネジャーの仕事はたった1つ』2013/7/24
高木 晴夫 (著)


(感想)
 組織行動学の専門家の高木さんが、マネジャーの最も重要な仕事について教えてくれる本です。
 高木さんが、慶應ビジネス・スクール生に行った「白熱のマネジメント特別講義」をまとめてあるので、とても分かりやすいだけでなく、生徒さんからの質疑応答もすごくポイントをついていて、さらに実践的で分かりやすくなっています。この質疑は講義中に随時行われるのですが、例えば「第2講 個人とチームを動機付ける方法」の中で、生徒さんからの「いちいち部下に状況を説明したり情報を伝えていたら、上司の時間がいくらあっても足りないのではないですか」という現実的な質問に、高木さんは「マネジメントにおいて先にラクをしてしまうと、後でしっぺ返しが来るってことも経験として分かっているんじゃないですか? 先にラクをしてしっぺ返しが来た時のコストと、ラクじゃないルートをとった時にかかるコストのどちらが多いと思いますか?」とすぐに応答していて、読者としてすごく考えさせられるとともに、生徒さんと高木先生の両方のレベルの高い質疑の恩恵を感じさせられました。
 このように参考になる情報がぎっしりつまった「白熱のマネジメント特別講義」を、本の形でじっくり何度でも読み返せるのが本当にありがたいです。
 さて、『マネジャーの仕事はたった一つ』と言われたら、その一つって何だろう?と考えてしまいますよね。マネジャーなんだから、当然、「管理」ってことか?と普通の人は連想するのではないかと思います。それに仕事は一つじゃないぞ、主な仕事だけでも、「部門目標の達成」「部下への仕事の割り振り」「部下の教育育成」「部下の動機づけ」とか、最低でも4つはあるじゃないか、と反論したくなるかもしれません。
 実は……、そのたった一つの仕事とは、「配る」こと。マネジャーの本質的な仕事とは、部下たちの疑問や悩み(会社における自分の仕事と存在の価値を知りたい)を解決する「適切な情報を配る」こと、すなわち「配る」マネジメントを行うことなのだそうです。
 マネジャーは、ヒト、モノ、カネ、情報という経営資源を「配る」のが一番の仕事で、そのうち若手マネジャーが配るものの大半は「情報」なのですが、この情報こそが、すべての鍵を握る存在だそうです。そして上司が部下に「配る」5つの大切な情報は、1)状況情報、2)方向性情報、3)評価に関する情報、4)個別業務情報、5)気持ち情報、なのだとか。
 これらの情報を自ら「獲りに行き」、適切に周囲に配っていると、部下のやる気があがり、業務目標を達成できるだけでなく、自分自身の経営専門能力も向上していくのだと、高木さんは教えてくれます。
 講義は次の7回構成です。どの回もすごく参考になると思いますので、マネジャーの方はぜひ一度読んでみてください。
第1講:「配る」マネジメントを実践する基礎知識
第2講:個人とチームを動機付ける方法
第3講:マネジャーは「情報」を獲りに行く
第4講:経営専門能力とキャリアを向上させる
第5講:マネジャーが知っておくべき人事部の存在と中身
第6講:マネジャーは職場の危機にどう対応するか
第7講:優れたマネジャーは変革とイノベーションを目指す
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 高木さんは、他にも『トヨタはどうやってレクサスを創ったのか―“日本発世界へ”を実現したトヨタの組織能力』などの本を出しています。
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 別の作家の本ですが、『人を動かせるマネジャーになれ!』、『プロフェッショナルマネジャー』、『超訳・速習・図解 プロフェッショナルマネジャー・ノート』、『超訳・速習・図解 プロフェッショナルマネジャー・ノート2』、『プロフェッショナルPMの神髄』、『職業としてのプロ経営者 -プロフェッショナルマネジャー論-』、『なぜ、わかっていても実行できないのか 知識を行動に変えるマネジメント』など、プロフェッショナルマネジャーの仕事の参考になる本は多数あります。

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