ちょき☆ぱたん お気に入り紹介 (chokipatan.com)

第1部 本

しかけ絵本(海外の作家)
 ※日本語の本(翻訳版)もあります

その他の海外の作家

3びきのかわいいオオカミ(トリビザス)
The Three Little Wolves and the Big Bad Pig(Trivizas)

『和書:3びきのかわいいオオカミ (大型しかけえほん)』2005/2
ユージーン トリビザス (著), ヘレン オクセンバリー (イラスト), & 3 その他

『洋書:The Three Little Wolves and the Big Bad Pig (Pop Up Books)(英語)』2004/3
Eugene Trivizas (著), Helen Oxenbury (イラスト)


(感想)
 3びきのかわいいオオカミと、わるいブタの愉快なしかけ絵本です。
 ん?『3びきのかわいいオオカミ』。……「オオカミ」?「こぶた」じゃなくて?
 そう、これは『さんびきのこぶた』のパロディー絵本です(笑)。
「あるところに、ふわふわのけがわにふさふさのしっぽをもった3びきのかわいいオオカミが、おかあさんといっしょくくらしていました。いちばんうえのにいさんはまっくろ、にばんめははいいろ、すえのおとうとはまっしろでした。あるひ、おかあさんが3びきをよんでいいました。「さあおまえたち、そろそろひろいせかいにでておいき。かあさんのうちをでて、じぶんたちのうちをつくりなさいな。でも、わるいおおブタにはきをつけるのよ。」
 物語はこんな風に始まります。
 オオカミとブタの立場が逆転しています(笑)。……これはやっぱり、あの『さんびきのこぶた』でやっつけられてしまったオオカミの親戚のオオカミなんでしょうか? 表紙でも分かるように、すごく素直そうな真面目な表情のかわいいオオカミたち。どうやら痛い目にあった「あの」エピソードで学習したらしく、3びきのオオカミたちは、レンガの家から作りはじめます(涙)。
(※ここから先は、物語の核心にふれるネタバレだらけなので、内容を知りたくない方は読み飛ばしてください)
 ところが、そのすぐつぎの日、悪いおおブタがやってきて、オオカミたちのレンガの家を見つけてしまいました! 悪いおおブタは思いっきり息をふきましたが、もちろん家は壊れません……と思いきや、なんとこの悪いおおブタは、ハンマーを持ってきて、いきなり!
 ……わああああああ!と思わず叫び声が出てしまいました。
 その後も、びくびくするかわいいオオカミたちに対して、この思いっきり悪いおおブタは、「そこまでする?」と行動がどんどんエスカレート。この時のイラスト&動きがすごく強烈&傑作で、えええええ!と驚愕しながらも笑いがとまりません(泣)。
 ……でも、これで良いんでしょうか? 教育的に見て、どうなんでしょう? と不安になりつつも、いつもの「オオカミ=悪・強者」+「ブタ=善・弱者」の構図がぶっ壊されるのが楽しくてたまりません。なにしろブタの悪い表情&行動があまりにも「ワル」過ぎて……しかも、そんな悪ブタに何度も家を壊されたかわいいオオカミたちも、すぐに立ち直って、優しい周囲の人にも助けられ、力を合わせて家を再建し、楽しく庭でバドミントンしちゃったりするんです。そして、そこにまた来るブタの登場の仕方も……最高過ぎる(笑)。
 この本は、飛び出す仕掛けの技法的には普通なのですが(汗)、イラストや動き方があまりにも愉快でイイ味を出しているので、「教育的にいかがなものか」という不安もぶっ飛ばされてしまうほどに素敵(強烈)なしかけ絵本です。面白過ぎ☆
 それでもこの本は、『さんびきのこぶた』の「賢い努力が一番大事」という教訓を、すっかり理解した後で読むことをお勧めします。『さんびきのこぶた』がベースにあってこそ、この強烈なパロディーを楽しめるからです。
 さて、こんなにもすごい敵対関係にあったオオカミとブタのこの物語、驚くことにハッピーエンド(?)で、ほのぼのと終わってくれるのです(笑)。これにも「うーん、これでいいのか?」と思わなくもないのですが(汗)、この終りがあるからこそ、何度読んでも愉快で、大きな悪ブタのワルっぷりを気持ちよく楽しめる愉快な絵本になっているのでしょう。(ちょっと迷いながらも……小声で)お勧めします☆
     *
・1~2ページ目:力を合わせてレンガの家を作るオオカミたち。左脇の見開きを開くと、レンガ運びのカンガルーが飛び出します。庭でクロッケーをするオオカミたち。中央の半ページを開くと、おおきな悪いブタが……。
・3~4ページ目:左ページでは、家の中でおびえるオオカミたち。左ページのスライドを引くと、窓の外のブタが動きます。右ページはレンガの家を吹き飛ばそうとするブタ。右脇の円盤を回すと、ブタがすごく頑張って吹き飛ばそうとします。
・5~6ページ目:ページ中央に、壊れていくレンガの家が(薄く)飛び出します。左脇の円盤を回すと、ブタがハンマーをふるいます(涙)。
・7~8ページ目:左ページでは、コンクリートで家を再建するオオカミたち。つまみを引くと滑車でつるされたコンクリートのバケツが上下します。左脇に見開きあり。中央の半ページでは、おおきな悪いブタがうろついています(涙)。右ページでは、庭でバドミントンするオオカミたち。つまみを引くと、あっ、ブタが!(この動きが最高☆)
・9~10ページ目:中央に薄く飛び出すコンクリートの家を悪いブタが電気ドリルで!(下の円盤を回すと動きます……この動きがとにかく最高に笑えます☆)物語は右脇の半ページに進み、さらにそれを開いた下に続きます(この順番が分かりにくいので要注意)。怖さに震えながらも、めげないオオカミたちは、さらに丈夫で安全な家を再建します。
・11~12ページ目:ダイナマイトで吹き飛ぶ「さらに丈夫で安全な家」がページ中央に飛び出します(涙)。
・13~14ページ目:左ページは、フラミンゴにもらった花で家を再建するオオカミたち。左の見開きを開くと、花のお風呂に入ったオオカミが跳び出します。中央の半ページでは、やっぱり来ちゃった悪ブタに怯えるオオカミたち。右ページでは花の中で気持ちよさそうに踊り出すおおきなブタ(下の円盤を回すと動きます)。
・15~16ページ目:草原で仲良くボール遊びするオオカミたちとおおきなブタ。左側の見開きを開くと、みんなで仲良くティータイム☆ (めでたし、めでたし)
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 イラストを担当しているオクセンバリーさんの他のしかけ絵本『きょうはみんなでクマがりだ』に関する記事もごらんください。
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 この本には和書と洋書があり、どちらにも、しかけ絵本ではない通常版など様々な版がありますので、購入時にはご注意ください。

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