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第1部 本

ビジネス・経営

ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか(ティール)

『ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか』2014/9/25
ピーター・ティール (著), ブレイク・マスターズ (著), & 2 その他


(感想)
 ペイパル・マフィアの雄、ピーター・ティールさんが、母校スタンフォード大学で行った「起業に関する講義」をまとめた本です。
 オンライン決済サービス・ペイパルの初期メンバーとして繋がりが深く、現在もシリコンバレーで絶大な影響力を持つ「ペイパル・マフィア」の面々は、ユーチューブ(YouTube)をはじめ、電気自動車のテスラ・モーターズや民間宇宙開発のスペースXからイェルプ(Yelp!)、ヤマー(Yammer)といったネットサービスまで、勝ち組と言われる企業を立ち上げてきました。その一人のピーター・ティールさんが、自らの経験をもとに「新しい何かを創造する企業」をどう立ち上げるかを教えてくれます。
 ところでシリコンバレーでは、ドットコム・バブル時代に、数多のスタートアップが起業しては消えていきました。そこで得られた一般的な教訓としては、「1.少しずつ段階的に前進すること」、「2.無駄なく柔軟であること」、「3.ライバルのものを改良すること」、「4.販売ではなくプロダクトに集中すること」の4つが重要だと言われていますが、ティールさんは、むしろ正しいのはそれとは逆の次の4原則だと言っています。
1.小さな違いを追いかけるより大胆に賭けた方がいい、
2.出来の悪い計画でも、ないよりはいい
3.競争の激しい市場では収益が消失する
4.販売はプロダクトと同じくらい大切だ
 これらのうち、2~4は当然のようにも思える原則ですが(汗)、1にはかなりの勇気が必要なようです。
 そして遠い未来に大きなキャッシュフローを生み出すのは、プロプライエタリ・テクノロジー、ネットワーク効果、規模の経済、ブランドを持っている独占企業だそうで、このうちプロプライエタリ・テクノロジーは、2番手より少なくとも10倍は優れていなければならないとか……かなりハードルが高そうです(汗)が、そのためには「まったく新しい何かを発明するのが一番だ」と言っています。
 さらに成功するためには、次の7つの質問を考慮すべきと教えてくれます。
1.エンジニアリング(段階的な改善ではなく、ブレークスルーとなる技術を開発できるか)
2.タイミング(このビジネスを始めるのに、今が最適なタイミングか?)
3.独占(大きなシェアがとれるような小さな市場から始めているか?)
4.人材(正しいチーム作りができているか?)
5.販売(プロダクトを作るだけでなく、それを届ける方法があるか?)
6.永続性(この先10年、20年と生き残れるポジショニングができているか?)
7.隠れた真実(他社が気づいていない、独自のチャンスを見つけているか?)
 ……確かに、これだけの質問にきちんと答えられるようなら、もちろん成功間違いなしなのでしょうが……やっぱり「ゼロから何かを生み出して成功する」ためのハードルは高いのですね(汗)。
 この他にも、「何かを始めるにあたって、最も重要な最初の決断は「誰と始めるか」だ」とか、「スタートアップでは、中の全員がそれぞれまったく違う仕事で際立たなければならない」など、ティールさん自身の経験をもとにした実践的アドバイスも色々してくれています。起業を考えている方には、とても参考になるのではないでしょうか。
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 別の作家の本ですが、『ビジネス・フォー・パンクス』、『クリエイターズ・コード 並外れた起業家たちに共通する6つのエッセンシャル・スキル』、『ザ・ラストマン 日立グループのV字回復を導いた「やり抜く力」』、『リーン・スタートアップ』など、起業や経営の参考になる本は多数あります。

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