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第1部 本

教育(学習)読書

思考の整理学(外山滋比古)

『思考の整理学 (ちくま文庫)』1986/4/24
外山 滋比古 (著)


(感想)
 お茶の水女子大学名誉教授で、英文学者・評論家でもある外山滋比古さんが、思考の整理法を教えてくれるエッセイ集です。
 この本を教育と自己啓発のどちらのジャンルで紹介すべきか迷ったのですが、内容から考えると、この本から最も得るものが多いのは大学生だろうと考えて、教育ジャンルで紹介することにしました。と言うのも、この本の中で外山さんは、大学生が論文をどうまとめるべきかについて、かなり詳しく語ってくれているからです。
 また冒頭のエッセイ「グライダー」も、大学生にとっては、すごく参考になる(耳に痛い?)のではないかと思います。
「学校はグライダー人間の訓練所である。」と外山さんは言います。グライダーは飛行機よりも美しい飛び方をしますが、自力で飛ぶことはできません。そして優等生はグライダーとして優秀なのだそうです。
 そんな優等生の大学生が、卒業間際になって論文を書くことになります。何でも自由に自分の好きなことを書いてみよ、と言われると、グライダー人間は途方にくれるのだとか……分かるような気がします(汗)。
 そして、そんなグライダーにエンジンを搭載するにはどうしたらいいのか。この本は、グライダー兼飛行機のような人間となるには、どういうことを心がければよいのかを考察しているのです。
 例えば、文学研究の論文テーマを設定するには、まず作品を読んで、感心するところ、違和感を抱くところ、わからない部分に注意します。それが素材になるそうです。
 そして論文を書く時には、「寝かせる」とうまくいくそうです。外国に「見つめるナベは煮えない」ということわざがあるそうですが、早く煮えないかと、たえずフタをとっているうちは、ナベは煮えない。しばらく放っておく時間が必要だということで、考えるときも同じことが言えそうだ、と外山さんは言います。これ、私も実感としてよく分かります(笑)。
 また、具体的な思考の整理の仕方として、スクラップやカード、ノートの活用法についても教えてくれるのですが、この部分は自分でパソコンやネットを活用する方法に置き換えて考えてみる方が良いと思います。実はこの本は1986年の出版、すなわち、まだパソコンやネットを活用している人が少なかった時代に書かれたエッセイ集です。そのため、記事のスクラップなどについては、現在では、ネットを使うことで、もっと効率的に収集保存できると思いますが、ノートの活用などでは、今でも使えると思える部分もありました。
 もちろん思考の整理の仕方については、普遍的な部分が多いので、今でもすごく参考になると思います。
 特に参考になったのは、考えをまとめようとして、なかなか思うようにいかない時のアドバイスで、「とにかく書いてみる」ということ。これも、すごく実感として役に立つと思います。考えがまとまらない時には、少なくとも、まとまっている部分だけでも書いてみる、書きたい内容を箇条書きにして書いてみるなど、「とにかく何か書く」と、それを手掛かりに、さらに「何か書けるもの」を連鎖的に思いつけることがあります。そうしたら、次にまた行き詰るまで何か書いてみて、行き詰ったら、そこでいったん「寝かせて」みると良いのではないでしょうか(汗)。
 そしてもう一つ参考になったのが、「テーマと題名」。三上章さんという文法学者の主著のひとつに『象は鼻が長い』があるそうです。この題名を見て、書店の人が童話の本だと思って、こどもの本の棚に入れてしまうことがあるようですが、実はこの本は二重主格を扱った日本文法論なのだとか(笑)。……それを知ってから、もう一度この題名を見ると、とても素晴らしい題名だと感心はしますが……やっぱり問題もあるタイトルですよね? 童話の本だと思われても仕方ないような……。こういう本のタイトルには、絶対に副題をつけるべきだと思いました。
 特にネット書店の場合は、タイトルはとても重要な要素になるので、誤解を招かない題名(または副題)をつけて欲しいと思います。私自身の経験でも、タイトルが想像していた内容と違っていることが数回ありましたが……次にその著者の本を買う時には、必要以上に用心してしまいますから(汗)。
 この『思考の整理学』はかなり古い本ですが、参考になることが多く、今でも読み継がれている古典的名著です。卒業論文を書くのに悩んでいる大学生の方は、一度読んでみてはいかがでしょうか。
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 外山さんは、他にも『知的生活習慣 (ちくま新書)』、『自分の頭で考える (中公文庫)』などの本を出しています。

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