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第1部 本

ユーモア

イギリス紳士のユーモア(小林章夫)

『イギリス紳士のユーモア 』2003/7/11
小林 章夫 (著)


(感想)
 イギリス紳士の生き方や考え方について書かれた本です。『ユーモア』とタイトルにあるので、イギリスっぽいユーモアについて書かれた本だと思って買ったのですが、ユーモアについては、全4章のうちの1章があてられているだけで、どちらかというと、イギリス紳士の育つ背景や、ライフスタイルに関する記述が多いようです。
 とはいっても、ユーモアについての解説や事例が参考になるだけでなく、それを生み出しているイギリス紳士の人生哲学の真髄も、思いがけず垣間見せてもらえたような気がします。
 著者の小林さんはイギリス文学を専攻されていて、イギリスの大学に留学した経験をお持ちなのですが、英国滞在中に同じゼミにいた名家の跡取り息子と親しくなった関係で、いわゆる「紳士」の方々ともお知り合いになったことがあるそうですが、その時の話を読むと、「ツイードの高級なジャケットに山高帽と葉巻」的な偏見(?)が打ち砕かれ、紳士も普通の人とあまり変わらないのかなと、なんだか身近に思えるようになりました。
 この本は、まず「イギリス紳士とは何か」として、家系やイギリスの学校制度などの話から始まり、「紳士のライフスタイル」として、衣食住やクラブハウスなどに言及し、続いて「紳士のユーモア」として、ユーモアの定義や事例があげられ、最後にまとめがある、という構成になっています。
 ところで、ユーモアの定義というのは諸説あって、これがユーモアだとズバリ言うことは困難だそうです。イギリスのエッセイストのチェスタトンによると、「ユーモアは定義できないもので、そもそもユーモアの定義をすること自体、ユーモアの欠如を示すものだ」とか!
 またユーモアとウィットの違いというと、ユーモアは暖かく、ウィットは冷たいとか、ウィットで生まれるのは冷笑・嘲笑で、ユーモアから生まれるのは微笑・哄笑と議論されることもあるそうです。(個人的には、ウィットは、気の利いた「頭の良い」回転から生まれるもので、ユーモアは、とぼけた「面白い」気持ちから生まれるような気がします。また、ウィットは必ずしも冷笑ではなく、短くてスマートな笑いで、ユーモアの一側面(ユーモアに含まれるもの)のようなイメージを持っています。)
 またイギリスは最もすぐれたユーモアを生み出した国だというのですが、その賛否はともかく(汗)、個人的には、イギリスには、やはり上質のユーモアを生み出す土壌があるのではないかと感じています。昔のTV番組ですが、「モンティ・パイソン」や「Mr. ビーン」などを見ると、上品なユーモアに感心させられることが多いです(笑……もちろん皮肉です……でも……面白い!)。
 最後に、うーんと、唸らされたユーモアの定義の一つを紹介します。
「真面目に感じながらも、ふざけて考えること」
   *    *    *
 小林さんは、他にも『イングリッシュ・ジョークを愉しむ―英米人のユーモアがわかると英語がもっと愉しめる ジョークを味わう英文エッセー12編 (CD book)』、『イギリス英語日常会話表現集 CD book』、『コーヒー・ハウス』などの本を出しています。
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 別の作家の本ですが、『イギリス人に学べ!英語のジョーク』、『たいした問題じゃないが―イギリス・コラム傑作選』、『イギリス人のユーモア―日本人には思いつかない』など、イギリスのユーモアに関する本は多数あります。

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