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第1部 本

自己啓発・その他

ダメ情報の見分けかた―メディアと幸福につきあうために

『ダメ情報の見分けかた―メディアと幸福につきあうために』
2010/12/8
荻上 チキ (著), 飯田 泰之 (著), 鈴木 謙介 (著)


(感想)
 三人の論客が、メディア論・経済学・社会学の観点から、情報を的確に仕分ける技術などを教えてくれる実践的メディア・リテラシー論です。
 目次は以下の通りです。
 第1章 「騙されないぞ」から「騙させないぞ」へ 荻上チキ
 第2章 情報を捨てる技術 飯田泰之
 第3章 メディア・リテラシーの政治的意味 鈴木謙介
   *
 第1章は、ネット上の流言やデマとの向き合い方について、具体的事例をあげて分かりやすく解説してくれるだけでなく、メディアの機能など、メディアに関する基本的な解説もあるので、大学生や就職したての新社会人にもぜひ一読して欲しい、メディア・リテラシーの入門書となっています。
 なかでも、特に心に留めておきたいと感じたのは、冒頭の「メディアの屈折作用」で、「メディアで得られるあらゆる情報は、すべて誰かによって「作られたもの」です。常に第三者の手で編集・加工され、言語化・分析され、文脈付け・意味付けされたものであって、真実そのものではありません」という一文でした。
 ところで裁判などでは、ある事件について弁護側・検察側に分かれて意見を言い合い、同じ事件について話しているのに、主張や物の見方が大きく食い違うことがよくありますが、加害者と被害者という立場の違いを考えると、むしろ、それが普通のことなのだと思います。
 ところがTVのニュースを見ている時に、NHKや民放各社で、違う報道がなされていると思うことは少ないのではないでしょうか。なんとなく「マス・メディアが嘘をつくはずがない」と信頼して見てしまっています(汗)。でも本当は、「真実は一つではない」のだと思います。ある事柄にはさまざまな側面があるので、どの観点から見るかで、真実も違って見えます。さらに、報道各社もそれぞれの立場から、情報になんらかの屈折を与えているはずです。だから、興味を抱いたニュースについては、他のチャンネルではどう報道しているか、ネットではどう報道されているかなど、他の情報源でもチェックしてみる必要があるのではないでしょうか。
 第2章の「情報を捨てる技術」では、「とんでもなくダメな情報」を振り落す三つの方法がとても参考になりました。この「とんでもなくダメな情報」は、「見るからに嘘っぽい情報」のことかと思ったのですが、そうではなく、「無内容な話」「定義が明確でない話」「データで簡単に否定される話」の3つで、紹介された具体例を見ると、「とんでもなくダメな情報」とはあまり思えない情報だったからです(汗)。自分でも、こういう情報を発信しないよう心掛けないといけませんね……(汗、汗)。
 そして最後の第3章「メディア・リテラシーの政治的意味」は、情報と政治的偏向の複雑な関係を通して、情報には偏りがあり、社会には多様性があることを前提にした上でメディアと向き合うことの重要性を論じています。
 ぜひ一度、読んでみてください。
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 荻上さんは、他にも『僕らはいつまで「ダメ出し社会」を続けるのか 絶望から抜け出す「ポジ出し」の思想』、『新・犯罪論 ―「犯罪減少社会」でこれからすべきこと』などの本を出しています。
 また飯田さんは、『歴史が教えるマネーの理論』、『「30万人都市」が日本を救う! 〔中国版「ブラックマンデー」と日本経済〕』などの本を出しています。
 そして鈴木さんは、『ウェブ社会のゆくえ―<多孔化>した現実のなかで』などの本を出しています。

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