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第1部 本

文学(絵本・児童文学・小説)

絵本・児童書(海外)

バーティミアス

『バーティミアス (1) サマルカンドの秘宝』2003/12/13
『バーティミアスII ゴーレムの眼』
『バーティミアス (3) プトレマイオスの門』
ジョナサン・ストラウド (著)


(感想)
 古代から魔術師に仕えてきた妖霊(ジン)のバーティミアスと、魔術師の少年ナサニエル、謎の少女キティが繰り広げるファンタジー・アドベンチャー。
 全3巻の三部作で、各冊が約600ページもある長編! 三冊いっぺんに読んだのですが、児童文学とはとても思えない本の厚みにびっくりしました。それでも内容は、本当にすごく面白い☆ 個人的には、あの『ハリー・ポッター』より面白いとさえ思います。
 でも何故なんだろう? と思わないでもなかったのです(汗)。というのは……少なくとも第二部の半ばぐらいまで、主人公の少年ナサニエルも、少女キティも、結構、いらいら怒りっぽくて、あまり好きな性格ではなかったから。また物語の舞台となるイギリスも、魔物を酷使する魔術師たちが支配して他の人間たちを見下し奴隷化しているので、民衆の暗い不満が渦巻いているという嫌な感じの社会です。
 うーん、でも面白いんだよなー、何故なんだろ……と思ってよく考えてみると、もう一人の主人公のバーティミアスが、意外にも、いい奴だからなのだということに思いいたりました。表紙を見て分かるように、いかにも魔物の外見、しかも口がすごく悪いので、「いい奴」感があまりしないのですが……能力は高いし、率直な性格をしているし……意外なことに、悪魔のバーティミアスが、この物語を爽やかにさせているのです(笑)(ちなみにバーティミアスは自分を悪魔と言われるのは大嫌いです。彼は「ジン」なのです)。バーティミアスは変身能力が高いので、エジプトの少年(プトレマイオス)の外見をしていることも多いです。このプトレマイオスは、三巻目で重要な存在になります。
(※ここから先は、物語の核心にふれるネタバレを含みますので、結末を知りたくない方は読み飛ばしてください)
 さて、この三部作のスタートとなる『バーティミアス (1) サマルカンドの秘宝』は、邪悪なエリート魔法使いサイモンに復讐をするため、魔法修業中の天才少年ナサニエルが「サマルカンドの秘宝」を盗み出すことを決意し、妖霊バーティミアスを呼び出すことで始まります。果たしてこのヒヨッコ魔法使いのナサニエルと、ちょっとまぬけなバーティミアスのコンビは、「秘宝」を手に入れ、強敵をやっつけることができるのか? という物語。
「サマルカンドの秘宝」に関しては、この第一部だけで決着しますので、この本だけでも、とても楽しく読み終えることが出来るようになっています。この三部作は、各巻だけ読んでも楽しめるように、各巻に一つ大きな事件があって、その巻だけで解決し、それらを通じていた大きな謎が三巻目で解決するという構造になっています。しかも二、三巻目には、冒頭に「これまでの話」が短くまとめられているので、他の本を読まなくても、楽しめるように配慮されています(もちろん他の本を読んでいた方が、ずっと面白いことは言うまでもありませんが……)。

 そして二巻目の『バーティミアスII ゴーレムの眼』。
「サマルカンドの秘宝事件」から2年後、ロンドンでは魔術師の支配に抵抗するレジスタンスのしわざと思われる爆破事件が多発していて、若きエリート魔術師に成長したナサニエルが捜査にのりだします。その一方で、正体不明の凶悪な化け物が、ロンドンを破壊し始めます。実は、何者かが、土くれの巨人ゴーレムの目に呪文をふきこみ、復活させたのです。それを倒そうとするナサニエルに、巨人ゴーレムが襲い掛かります……。
 二巻目では、不思議な力をもつ少女キティが大活躍します。キティ……いい奴だったんだ……。
 この二巻目も、すごく面白いです。

 さらに三巻目の『バーティミアス (3) プトレマイオスの門』。
 いままでの謎がいっきに解き明かされるこの三巻目は、なにもかも圧倒的です。一巻目の「サマルカンドの秘宝」事件、二巻目の「グラッドストーンの杖」事件と「ゴーレム」事件、これらの裏にいた真の首謀者は誰だったのか、その狙いは何だったのかが明かされるだけでなく、妖霊バーティミアスが好んでエジプトの少年プトレマイオスに変身していた理由のすべてが明かされます。
 この三巻目は、あの「ゴーレム事件」から三年たったイギリスが舞台。少年魔術師のナサニエルは、なんと17歳で帝国政府のトップ7の仲間入りをするほど昇進していますが、長びく戦争と魔術師の支配に、市民の不満は高まって、社会情勢はいっそう悪化しています。
 そしてついに「サマルカンドの秘宝」「ゴーレム事件」の陰で暗躍していた首謀者が、バーティミアスも到底太刀打ちできないほどの邪悪で強大な魔物のヌーダを召喚してしまい、帝国政府の魔術師たちもその手下にされてしまいます。ロンドンを破壊しつくそうとする魔物たちに、バーティミアス、ナサニエル、そしてキティはどう立ち向かうのでしょうか……。
 感動の結末が待っています。
 バーティミアス、ナサニエル、キティの三人とも、とても素晴らしいキャラクターなので、またどこかで会いたい……と願うほどです。ものすごい長編なのですが、一気に読まずにいられない力があります。『ハリー・ポッター』好きの方は、おそらく、この作品も好きになると思います。せひ一度、読んでみてください。
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 ストラウドさんの他の本、『バーティミアス ソロモンの指輪』に関する記事もごらんください。
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 バーティミアスは、『バーティミアス (1) サマルカンドの秘宝』、『バーティミアスII ゴーレムの眼』、『バーティミアス (3) プトレマイオスの門』の各巻がすごくぶ厚いせいか、『バーティミアス (1) サマルカンドの秘宝』は、それを3分冊に分けた『軽装版』が出ています。間違いやすいので、購入時はご注意ください。

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