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第1部 本

 IT

2030年のIoT

『2030年のIoT』2015/12/11
桑津 浩太郎 (著)


(感想)
 市場規模、技術動向、ビジネスモデルまで、IoTの現在と近未来の姿について、幅広く解説してくれる本です。
 IoT(モノ・コトのインターネット化)は、今後の社会を大きく変えていく可能性を持っています。例えば身近なものだと自動販売機。自動販売機にIoT技術を適用することにより、在庫情報把握して配送を最適化できるだけでなく、周囲の気温変化や売れ筋商品などの情報を利用して、商品ラインナップを柔軟に変更、冷蔵・保温温度を最適化することで電気代を節約する等のことが可能になっていきます。
 またIoTで最も有名なのは、産業機械のコマツの例でしょう。コマツの建設機械には、車両の状態や稼働状況をチェックするセンサーやGPS装置が取り付けられ、各車両のデータを通信衛星回線や携帯電話回線を通じてコマツのサーバーに自動的に送信・集積するコマツ機械稼働管理システム「KOMTRAX(コムトラックス=Komatsu Machine Tracking System)」があります。これにより、建設機械の故障原因推定の容易化・修理の迅速化を可能にしているのですが、それだけでなく、建設機械の盗難防止、顧客側へのコスト削減提案、製品の需要動向予測などにも役立てているのです。
 この本は、このような産業別IoTの動向について幅広く解説してくれるので、自社の今後のIoT化をどうするかについて考えている方の参考になると思います。内容は、「第1章 IoT市場の現状」、「第2章 産業別IoTの動向」、「第3章 IoTの技術動向」、「第4章 IoTのビジネスモデル」の4章で構成されていますが、技術的な内容よりは、産業的な内容が多いので、あまりITに詳しくない一般のビジネスマンの方にも分かりやすい内容だと思います(ただし幅広いだけに、全体的に浅い内容になっている面もありますが……(汗))。
 とても参考になったのは、IoTがもたらすのはバラ色の未来だけではないという部分。
 他のIoT本でも、個人情報やセキュリティ面についての警告については、たくさん見たのですが、この本は、それ以外の暗い現実やデメリットも教えてくれました。
 例えば、電気・ガス・水道メーターはIoT化すると、検針員の大幅削減が期待できますが、責任範囲や予算、規制の見直しなどで実現していませんし、実現すると、多くの失業者を生み出す可能性があります。
 さらにIoTでの便利さをより多く享受できそうな遠隔地へは、営業に行くのに多額の時間と費用がかかるという現実的なデメリットがあるということ(なるほど……)。
 そして自動車や医療機器のIoT化には、もちろん人命を危険にさらす可能性を避けて通れないという困難が……。
 それでも今後、各産業でのIoT化は進んでいくことと予想されます。自社のIoT化を考えている方は、一度、読んでみてはいかがでしょうか。
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 別の作家の本ですが、近未来のIoTを予測した本には、他にも『ITナビゲーター2016年版』など色々あります。なおIT関連の本は、変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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