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第1部 本

文学(絵本・児童文学・小説)

絵本・児童書(海外)

アルケミスト―夢を旅した少年

『アルケミスト―夢を旅した少年』1997/2
パウロ コエーリョ (著), Paulo Coelho (原著), 山川 紘矢 (翻訳), & 1 その他


(感想)
 羊飼いの少年サンチャゴが、エジプトのピラミッドに彼を待つ宝物が隠されているという夢を信じて砂漠を旅する、勇気と信念の物語です☆
 ちょっと内容が難しいので、小学校高学年以上の方にお勧めします。
 世界中でベストセラーになったこの物語、ここでは「児童文学」で紹介することにしましたが、実は、成人の方が読んでも、とてもためになる本なので、「文学」または「自己啓発」のジャンルで紹介すべきかなのか悩みました。この物語の中には、含蓄深い教えがたくさん散りばめられているので、それを本当の意味で深く理解できるのは、青年~成人の方かもしれないな、と思ったからです。
 それでも「児童文学」で紹介することにしたのは、この本を早く知ることで、人生で挫折しそうになる時に、何度も読み直して欲しいと考えたからです。
 この本は、生きることの意味を教えてくれます。
(※ここから先は、物語の核心にふれるネタバレを含みますので、結末を知りたくない方は読み飛ばしてください)
 物語は、アンダルシアの平原に住む貧しい羊飼いの少年サンチャゴが、見捨てられた教会で不思議な夢を見るところから始まります。夢の中で彼は、見知らぬ子どもの導きでピラミッドに行き、「ここに来れば、隠された宝物を発見できるよ」と告げられるのです。
 彼はエジプト行きを決意します。実は、羊飼いの少年はもともと神学を学んでいたのですが、広い世界を見たいと思っていたので、旅を職業とする羊飼いになっていたのでした。
 決意したものの、彼にはまだ迷いもありました。羊は彼に慣れていましたし、羊飼いの仕事にも、それなりに満足していたからです。でも不思議な老人との出会いが、彼の決心を後押しします。そして彼は羊を売り払い、そのお金でアフリカへ渡りました。
 ところがアフリカに着いたとたん、彼は詐欺師に出会ってしまい、なんと無一文になってしまいます!
 ……この時の彼の対応が本当に凄い。こんな若さで、こんなひどい目にあっているのに、彼はその時のバーでの出来事を思い返して、「僕は、本当に起こっていることではなく、自分が見たいように世の中を見ているのだ」と思い知るのです。
 彼はその後も何度もひどい目にあいます(涙)。また多くの人に助けられもします。
 そして「何かを強く望めば宇宙のすべてが協力して実現するように助けてくれること」「前兆に従うこと」などの大切なことを知っていきます。
 こうして少年は、旅の途中で(出会うべくして)出会った錬金術師の導きでピラミッドへの旅を続け、人生の知恵を学んで行きます。
 そして、とうとうたどり着いたピラミッドで、少年は――。
 彼の旅の物語の鎖は、大団円の円環を見事に結びます。
 この旅が教えてくれたものは、人生を生きていくことの意味だったのではないでしょうか。
 物語に散りばめられている素晴らしい言葉の数々が、心に残ります。
「傷つくのを恐れることは、実際に傷つくよりもつらいものだと、おまえの心に言ってやるがよい。夢を追求している時は、心は決して傷つかない。それは、追及の一瞬一瞬が神との出会いであり、永遠との出会いだからだ」
「本気で宝物を探している時には、僕はその途中でたくさんのものを発見した。それは、羊飼いには不可能だと思えることに挑戦する勇気がなかったならば、決して発見することができなかったものだった」
「何をしていようとも、この地上のすべての人は、世界の歴史の中で中心的な枠割を演じている。そして、普通はそれを知らないのだ」
 心が疲れた時、何度も読み返したくなる物語です。
   *    *    *
 コエーリョさんは、他にも『ピエドラ川のほとりで私は泣いた』、『ベロニカは死ぬことにした』、『星の巡礼』、『ヴァルキリーズ』、『マジカル・モーメント---賢者のつぶやき』などの本を出しています。

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