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第1部 本

文学(絵本・児童文学・小説)

絵本・児童書(日本)

夜のピクニック

『夜のピクニック (新潮文庫) 』2006/9/7
恩田 陸 (著)


(感想)
 本屋大賞を受賞した、永遠の青春小説です☆
 夜のピクニックというのは、高校(北高)の伝統行事の「歩行祭」のこと。全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、常識はずれのイベントです。
 徹夜で80キロだと? ……冗談じゃない。「徹夜」も「80キロ歩行」も大嫌いなフレーズなので、こんな高校でなくて良かったと思いながら読み始めたのに……、いつの間にか(なんか羨ましい……)気分になってしまうのは、やっぱり「努力・友情・熱血」的な少年漫画を読んで育ったからでしょうか(汗)。
 高校生活最後を飾るイベントの「歩行祭」、甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて歩き始めました。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために……。
(※ここから先は、物語の核心にふれるネタバレを含みますので、結末を知りたくない方は読み飛ばしてください)
 親友にも言えない秘密を抱えた甲田貴子、西脇融の二人は、互いを意識しつつも今まで口をきいたこともありません。それでも周囲の友人たちは、二人に何か共通するものを感じていました。
 甲田貴子は女の友人たちと、西脇融も男の友人と、それぞれ長い道のりを歩きていきます。しだいに足が腫れてどんどん疲れていく彼らが、景色に感動したり、恋愛や進学の打ち明け話をしたりして……恩田さんが鮮やかに描き上げる高校3年生たちの姿が、自分の過去の友達に重なってきて、なんだか彼らと一緒に歩いているような気持ちになります。
 この友人たちがまた、すごく良い人たちばかりなんですよね☆ 心がどんどん温かくなります。
 そして、精神と肉体を極限まで酷使するこの「歩行祭」は、人間からいろんな余計なものをどんどん削ぎ落していくようです。頑なな緊張関係にあった甲田貴子と西脇融の距離もしだいに縮まっていっていき……。
 かなり長い物語ですが、いっきに読み終えた後には、大切な親友たちと一緒に80キロを走破したような達成感と爽快感が残ります☆
   *   *   *
 恩田さんには、他にも『ブラック・ベルベット』、『クレオパトラの夢 新装版』、『MAZE 新装版』、『不連続の世界』、『ユージニア』、『ドミノ』、『月の裏側』、『六番目の小夜子』など多数のベストセラーがあります。

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