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第1部 本

文学(絵本・児童文学・小説)

絵本・児童書(日本)

ルドルフとイッパイアッテナ

『ルドルフとイッパイアッテナ』1987/5/20
斉藤 洋 (著), 杉浦 範茂 (イラスト)


(感想)
 ひょんな事から長距離トラックで東京に来た黒猫ルドルフが、土地のボス猫イッパイアッテナと出会う友情物語です(笑)。昭和61年度の児童文学新人賞入賞作品です。
 小学校五年の女の子リエちゃんの飼い猫だった黒猫ルドルフは、飼い猫なのに冒険心に溢れていて、負けん気も強い猫です(表紙のつっぱった感じの顔を見てもわかるでしょう?)。魚屋に追いかけられて逃げ込んだ先が長距離トラックだったのが運のつき、気がついたら見知らぬ街、東京に来てしまっていました……。
 のっけから、魚屋に追われて疾走するルドルフの緊迫感に目が離せなくなり、どうやら高速道路に乗ったらしい……そして運転手の隙を見てトラックから飛び降りたと思ったら、今度は、大きくて強そうな猫が「おい、わかいの。ドライブのあとは、お散歩かい」とドスのきいた太い声。「いいどきょうだ、ぼうや。ここを、ただで通ろうってのかい」
 まるでサスペンスドラマか任侠映画のような展開。このボス猫のイッパイアッテナが、案外いいヤツなのも、任侠映画のお約束ですね(笑)。
(※ここから先は、物語の核心にふれるネタバレを含みますので、結末を知りたくない方は読み飛ばしてください)
 ルドルフは、イッパイアッテナにさまざまなことを教えられ、「教養のある(?)」野良猫生活を送り始めます。魔女のようなおばあさんや、クマのような男先生、飼い猫ブッチーなど様々な人間や動物と出会い、ときに故郷への思いをつのらせながらも、毎日を楽しく懸命に生きていきます。
 そしてイッパイアッテナに文字を教えられたルドルフは、TVで甲子園野球を見ている時に……故郷を見つけたのです!
 ああ、やっぱり、とニンマリしてしまいました。「文字を読めるようになるのは、故郷へ帰る伏線なんでしょ?」と思いながら読んでいたからです(笑)。
 でもそんなとき、大変なことが起こってしまい……。
 予想通りの展開にならないのも、物語として大切なことですね☆(負け惜しみ)。
 ルドルフが懸命に文字を覚えるところとか、「学ぶ」「経験する」「まっすぐ生きる」ことの大切な意味をさりげなく教えてくれます。笑いながら楽しく読みすすめているうちに、いつのまにか大切なことが心に残っている、素晴らしい物語です。
   *    *    *
 このルドルフはとても人気があり、他にも『ルドルフ ともだち ひとりだち』、『ルドルフといくねこ くるねこ』、『ルドルフとスノーホワイト』があり、シリーズ化しています。
 また斉藤さんは、他にも『アルフレートの時計台』、『ペンギンたんけんたい』などの楽しい本も出しています。
 さらに『しょうがっこうへ いこう』、『でんしゃに のろう』、『じてんしゃに のろう』などの講談社の創作絵本シリーズは、探し絵や間違い探し、クイズなど、楽しい遊びのページを交えながら色々なことを教えてくれる素敵な絵本です☆

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